静岡県牧之原市の認定こども園「川崎幼稚園」で3歳女児が送迎バスに置き去りにされて死亡した事件を受け、同園の増田立義園長が9月7日、記者会見し、「亡くなられた園児とご遺族に心よりおわび申し上げます」と謝罪し、「このような大変悲しい事故が起こってしまい、その原因がわれわれの安全管理がきちんとできていなかった点にあったということをきちんと受け止めて、まずは原因の究明に努めてまいりたいと思っております」と述べた。一方、文科省は内閣府、厚労省と連名で6日、「保育所、幼稚園、認定こども園及び特別支援学校幼稚部におけるバス送迎に当たっての安全管理の徹底について(再周知)」とする事務連絡を都道府県教委など関係機関に発出した。
この日の園側の会見では、園児らがバスから降車後、女児の出欠の確認ミスから職員は女児が欠席したものと思い込んでいたことが明らかになった。また、増田園長は本来の運転手が休みだった上、臨時の運転手3人も用事があったために自らが運転することになったとして、運転などの業務に「不慣れだった」と認めた。
園の説明によると、亡くなった女児ら園児6人が乗ったバスは5日午前9時前に園に到着したが、運転手だった増田園長と同乗した職員が園児の降車時に車内を確認しなかったために、女児は車内に約5時間にわたり置き去りにされ、病院に搬送されたが死亡が確認された。
園は今回の事故の原因として、「バス下車時に乗車名簿と園児を照合する決まりが伝えられていなかった」「園児が下車した後にバス車内を確認していなかった」「登園予定の園児が教室にいないにもかかわらず、担任が保護者へ問い合わせをしなかった」ことなどを挙げ、今後さらに原因を究明していくとしている。
文科省などでは、昨年7月に福岡県中間市の保育園で起きた5歳男児の送迎バス置き去り事件を受けて、同年8月の事務連絡で保育所、幼稚園、認定こども園や特別支援学校幼稚部での、バスによる送迎などの安全管理徹底を求めてきた。今回の事件を受けて、改めてバス送迎を行っている各施設において業務の点検を行い、安全管理を徹底するよう求めた。
事務連絡では①子供の欠席連絡等の出欠状況に関する情報について、保護者への速やかな確認及び職員間における情報共有を徹底すること②登園時や散歩等の園外活動の前後等、場面の切り替わりにおける子供の人数確認について、ダブルチェックの体制をとるなどして徹底すること③送迎バスを運行する場合においては、事故防止に努める観点から運転を担当する職員の他に子供の対応ができる職員の同乗を求めることが望ましいこと、子供の乗車時および降車時に座席や人数の確認を実施し、その内容を職員間で共有することなどに留意すること④各幼稚園等においては、「学校安全計画」「危機管理マニュアル」について、適宜見直し、必要に応じて改定すること――を求めている。