こども基本法に基づき、子供の意見を国の施策に反映させるための方策を考える内閣官房「こども政策決定過程におけるこどもの意見反映プロセスの在り方に関する検討委員会」の第2回会合が9月16日、オンラインを交えて開かれた。この日は、子供・若者の意見を国レベルで反映させている、調査対象となる候補国の選定や、モデル事業として子供・若者から幅広く意見を聞く手法についての案が示された。
冒頭、大臣に就任して初めて出席した小倉将信こども政策担当相は「子供真ん中とは政策の対象として子供を真ん中に据えるだけではなく、政策決定プロセス自体も子供の意見を聞いて、子供を中心に変えていく、ということでもある。これまでわが国では、政策決定過程において子供・若者の意見を十分に聞いているとは必ずしも言えない状況であり、大変重要かつ大胆なチャレンジになると思うがしっかり取り組んでまいりたい」とあいさつした。
こども基本法では、子供・若者の意見表明権が保障され、その意見が尊重されて最善の利益が優先して考慮されることが規定されている。これを受け、同検討委では2023年4月のこども家庭庁の発足に先立ち、子供の意見を施策に反映させる仕組み作りのため「国内先進事例や諸外国の取り組み事例の収集・分析」「有識者ヒアリング」「モデル事業の実施・分析」を行う。
この日話し合われた「諸外国の取り組み事例の収集・分析」の調査対象候補には、アイルランド、フィンランド、ニュージーランド、欧州連合(EU)が内閣官房から示された。委員からは「アジアの国を入れてはどうか」という声もあり、韓国を含めて調査対象国を絞り込むことになった。調査では、それぞれの国での子供・若者の参加・参画の意義や経緯、環境整備のほか、どのように意見が施策へ反映されているかなどについて調べる。
一方、モデル事業として22年度に行う予定の子供・若者からの意見聴取は、さまざまな手法で実施することで意見聴取における課題を抽出すること、どのような環境や手法であれば意見を言いやすいのかを明らかにすることを目的としている。手法として「対面」「オンライン」「SNS」「ウエブアンケート」が提案され、それぞれ具体的な事前準備、実施方法、調査当日の流れ、具体的な質問例が提示された。自ら意見を表明しにくい不登校の子供や児童養護施設で生活する子供などについては、個別に対面やオンラインで実施するとした。