部活動改革に5施策提言 経産省「未来のブカツ」有識者会議

部活動改革に5施策提言 経産省「未来のブカツ」有識者会議
部活動改革に向けまとめられた「未来のブカツ」ビジョンの最終提言
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 文科省が来年度から休日における公立中学校の部活動を地域移行する方針を決めた一方、産業としてのスポーツクラブの可能性とともに学校部活動の持続問題について検討していた経産省の有識者会議「地域×スポーツクラブ産業研究会」(座長:間野義之早稲田大学スポーツビジネス研究所所長)は9月28日、学校単位を超えて生徒が楽しめるスポーツ環境の構築に向けて整備が必要な5施策を盛り込んだ最終提言「未来のブカツ」ビジョンを発表した。

部活動改革に向けまとめられた「未来のブカツ」ビジョンの最終提言

 スポーツ産業を所管する経産省では、民間スポーツクラブが収益性や持続可能性を高めながら、学校部活動の地域移行の受け皿として機能するための事業環境を考えるため、2020年10月に同研究会を発足。昨年6月には、さまざまな運営主体による地域スポーツクラブが学校や社会教育施設を活用して、ジュニア世代から幅広い世代にスポーツや健康増進の場を提供し、スポーツを産業として成長させるビジョンを描いた第1次提言を示した。その後、全国10カ所で実証事業を展開し、保護者負担の程度や採算が合う事業運営の在り方、場所や指導者の確保、合意形成の在り方の実現可能性を検証した。

 28日にまとめた最終提言では、2020年代前半までに進めるべき施策として「大会デザインの再設計」「活動場所、移動・コミュニケーション手段の確保」「教員の兼業環境整備、活動時間の再編、有償・兼業コーチの育成・確保」「所得格差由来の機会格差を埋める資金循環の創出」「学校部活動の地域移行の見通しとの制度的位置付けの早期明確化」――の5策を提示。

 その中では、少子化によってクラブ数、部員数が減少している問題は中学のみならず高校でも同様で、大会への参加資格を学校単位に限定することなく、1人でも多くの生徒が競技大会に参加できるようにする必要があると指摘。さらに1クラブから複数チームが出場できたり、レベル別のリーグ戦方式を導入したりすることで参加機会が増えるよう、大会の再デザインを要望した。

 また条例で、体育館などの学校施設の営利目的での使用を禁止している自治体に対しては、民間スポーツクラブが使用できるよう条例の改正を促した。地域移行で生徒が活動場所まで移動することが困難な場合には、地域コミュニティーバスの活用や端末を利用したオンライン活動などの検討を求めている。

 このほか、地域移行後に部活動のコーチを希望する教員の兼職兼業については、「業務委託契約」などで指導を続けられる環境の整備を提案。学校から離れることで生徒・保護者らが負担する会費・指導料については、家庭の経済的な問題がスポーツ環境の機会格差につながらないような工夫が必要として、学校施設の民間開放による収益化、クラブ収益源の多様化、スポーツ振興くじのさらなる活用などによる財源確保の検討を求めた。

 部活動の地域移行に関しては、すでに運動部についてはスポーツ庁が、文化部については文化庁が、公立中学校の休日の活動を来年度から段階的に地域に委ねていくための提言を行っており、地方自治体において現在、それに基づいた実施に向けての検討が進められている。

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