静岡県牧之原市の認定こども園で園児が送迎バスに置き去りにされ死亡した事件を受け、送迎バスの安全管理の徹底に向けた国の緊急対策「こどものバス送迎・安全徹底プラン」が10月12日、まとまった。園に園児らの見落としを防止する安全装置の設置を来年4月から義務付けるとともに、作成したバス運行の安全管理マニュアルの早期実施を求めた。このほか、年内に安全装置の仕様に関するガイドラインを作成すること、安全装置や登園管理システムの導入支援など「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」を政府の総合経済対策に盛り込む方針を示した。小倉将信こども政策担当相は同日、園児の命を守るための緊急対策を着実に推進するために留意すべき方針を関係府省に示し、「緊急対策の取りまとめはスタートラインにすぎない。これを全ての園でしっかりと実施してもらえるよう、これからもしっかりと頑張っていきたい」と述べた。
緊急対策で義務付けられたのは、降車時に点呼などによる園児らの所在確認と送迎バスに安全装置を設置すること。府省令を改正することで、義務違反は業務停止命令などの対象事由となり、命令違反した場合には罰則などが課せられる。
安全装置の義務付けの対象は幼稚園、認定こども園、保育所、認可外保育施設、障害児通所支援事業、特別支援学校(小学部、中学部、高等部)など。今後、11月に案に対するパブリックコメントを募集し、来年4月のこども家庭庁発足と同時に施行する予定。装置の調達の問題を踏まえて1年間は経過措置期間とするが、同年6月までの設置が望ましいとしている。
今回作成された送迎バス運行にあたっての安全管理マニュアルで具体化されたチェックシートは、毎日使えるよう「バスに乗る子供の数を数えた」「子供の数を数えて全員が降りたことを確認した」「連絡のない子供の欠席について出席管理責任者に確認した」「運転手はバスを離れる前に車内に子供が残っていないことを確認した」など、見落としがないかを確認する内容で、運転席に備え付けることが想定されている。
このほかマニュアルでは、日ごろの送迎バス運行の前後の場面で、園児らの安全を確保するために気を配らなければならないポイントも列挙されており、小倉担当相は「ただちに地方自治体を通じてこのマニュアルが現場に行き渡るようにして、可能な限り早期にマニュアルに基づいて運用を開始してもらいたい」と求めた。
また、安全装置の仕様についてのガイドラインは、今月4日から国交省のワーキンググループで検討が進められている。ガイドラインのポイントはヒューマンエラーを補完する装置で、既販車にも後付けが可能であることなど。今後、関係者からのヒアリングなどを行い、年内に策定される見込み。
「こどもの安心・安全対策支援パッケージ」には安全装置のほか、保護者からの連絡を容易にしたり、職員間で園児の出欠に関する情報を共有したりするための登園管理システムや、GPSを活用した見守りサービスに係る機器の導入の支援、安全管理マニュアルの動画作成や研修の実施支援なども盛り込まれ、財政措置を講じる方向で調整している。
2022年10月12日
こどものバス送迎・安全徹底プラン(緊急対策)を、スピード感を持って着実に推進すること。
また、緊急対策の推進に際しては、次に掲げる点について留意すること。