老朽化対策と教育DXの財源確保 自民党議連が緊急要望

老朽化対策と教育DXの財源確保 自民党議連が緊急要望
永岡文科相(前列右から4人目)に緊急要望書を提出した自民党議連などの関係者
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 学校の老朽化面積が5年前と比べてほぼ倍になるなど、老朽化が進む中、自民党の「学校耐震化・施設整備等促進議員連盟」の議員らは10月14日、文科省で永岡桂子文科相と面会。来年度に向けた学校設備のための財源を、補正予算も含めたあらゆる手段で確保するよう緊急要望書を提出した。要望書では老朽化対策のほかに、教育DX(デジタル・トランスフォーメーション)についても言及。ネットワーク環境整備の調査やシステムの拡充などを通し、格差が生じないよう求めた。

 この日は自民党議連の議員のほか、全国公立学校施設整備期成会と日本私立大学団体連合会の有志も文科省を訪れた。

 要望書では、「学校は子供たちの学習・生活の場であるとともに、災害時には地域の方々の避難所ともなる。子供たちや地域の方々が安全・安心に過ごすことのできる居場所を整備し、国民の生命を守ることは国の責務である」と指摘。

 その上で、全ての子供たちの可能性を最大限に引き出す「令和の日本型学校教育」の構築に向け、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に進めるためには、学校施設についても新しい時代の学びに柔軟に対応できる学習・活動空間を実現する必要があると強調した。

 文科省が8月に公表した「公立学校施設の老朽化状況調査」によると、公立小中学校施設の老朽化面積は2021度で3338万平方メートルとなっており、前回調査した16年度の1834万平方メートルに比べ、ほぼ倍となっている。

 要望書では、老朽化の進展により、21年度には安全面の不具合が2万件以上発生しているとし、教育環境向上と老朽化対策を一体的に行う長寿命化改修工事に対して、恒常的に必要な予算を十分に確保することを求めた。加えて、トイレや給食施設などの衛生環境改善、特別教室・体育館などへの空調や換気設備の設置、特別支援学校の教室不足解消を進めることとした。

 また、教育DXについても言及。全ての小中学校などにおけるデジタル教科書の普及促進やネットワーク環境整備に向けた調査、オンライン学習システムの機能改善と拡充などを通して、公私間格差の是正を図りつつ、必要な予算額を十分に確保することとした。

 このほか、ウクライナ情勢などの影響による資材や労務費の高騰に対応できるよう、実態に即した国庫補助率・単価の引き上げや私立学校の耐震対策・防災機能強化についても、公立学校と同水準の支援を目指すよう求めた。

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