置き去り死亡事件を受けた送迎バスの安全装置設置義務化に関して、小倉将信こども政策担当相は10月18日、閣議後の会見で、事業者の負担がゼロとなるのは「標準的な安全装置を導入した場合」として、国が費用負担する安全装置を限定する方針を明らかにした。前日の衆院予算委員会で岸田文雄首相が「事業者の負担を実質的にゼロにする」とした発言に関連して述べた。
会見で小倉担当相は「安全装置は現在開発中のものも多く、今後の市場価格の動向を注視していく必要がある。価格も非常に高額から低額までさまざまなものが想定される。これら全てを公費で負担した場合には、市場価格の高止まりが生じる恐れがある」と指摘。
その上で、「あくまでも義務付けられるものとして、標準的な安全装置を導入した場合に事業者の負担が無償となるよう定額補助を行う方向で調整をしている」と費用負担する安全装置に一定の枠を設けることを明らかにした。
岸田首相が17日に、「義務化される安全装置については事業者の負担が実質的にゼロになるよう財政措置を講じていく」と答弁した内容を補足した形。小倉担当相はさらに、標準的な安全装置とは、「国交省が決める技術要件を満たしつつ、かつ手に入りやすい、届きやすいもの」と定義した。
現在、安全装置の仕様については岸田首相の指示を受け、国交省のワーキンググループで検討しており、年内にもガイドラインが作成される見込み。バス送迎の安全管理の徹底に関する緊急対策では幼稚園や保育所、認定こども園、特別支援学校などに安全装置の設置を来年4月から義務付け、猶予期間は1年間とされている。