週の半分以上を特別支援学級で Q&Aで「通知の撤回予定ない」

週の半分以上を特別支援学級で Q&Aで「通知の撤回予定ない」
iStock.com/LysenkoAlexander
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 文科省は11月4日、小中学校の特別支援学級に在籍している児童生徒に対して適切な指導を行うよう都道府県教委に求めた4月の通知に関して、趣旨を徹底させるQ&Aを新たに作成し、公表した。特別支援学級に在籍している児童生徒は、週の授業時数の半分以上を同学級で学ぶことなどを周知した同通知について、国連障害者権利委員会から撤回を求められたことに関しては、文科省の方針に変更がないことを伝えている。

 文科省によると、昨年度に一部の自治体を対象に実態調査を実施したところ、特別支援学級に在籍している児童生徒が、大半の時間を通常の学級で交流および共同学習を行い、特別支援学級で障害の状態や特性、心身の発達の段階などに応じた指導を十分受けられていないケースがあった。

 4月の通知では、一人一人の教育ニーズに的確に応える指導を提供できるよう、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要で、交流の側面のみに重点を置くことは適切でないとして、特別支援学級に在籍している児童生徒には、原則として週の授業時数の半分以上を目安に、特別支援学級で障害の状態や発達段階などに応じた授業を行うよう改めて求めた。

 今回のQ&Aは、「各地で新年度の就学相談が行われるこの時期に、教委や保護者らに特別支援教育の目的や制度を分かりやすく伝えるために、問い合わせの多かった内容を中心に作成した」(文科省特別支援教育課)という。

 Q&Aで「週の半分」の根拠については、「学級とは継続的に組織される児童生徒の単位集団で、特別支援学級は障害のある児童生徒が年間を通じてその学級において活動することを前提として編制され、 障害に応じた指導が行われるものであること」とした上で、「交流および共同学習は、障害のある児童生徒の交流先の学級での活動を特別支援学級担任がサポートするなど、適切な指導体制を整えられる範囲内で実施される必要がある」として総合的な判断から「半分」としたと説明。

 「交流や共同学習の時間を制限することは、インクルーシブの理念に逆行し、障害のある子供の排除につながるのでは」との問いには、「特別支援学級で半分以上学ぶ必要のない児童生徒については、通常の学級に在籍を変更することを促すとともに、特別支援学級在籍者の範囲を、そこでの授業が半分以上必要な子供に限ることなどを目的としたもので、むしろインクルーシブを推進するもの」と従来の主張を記した。

 このほかQ&Aでは、特別支援学級または通級による指導のいずれにおいて教育を行うべきかの判断については、「障害のある児童生徒の学びの場は、障害の状態、教育的ニーズ、学校や地域の状況や専門家の意見等を総合的に勘案し、本人および保護者の意向を最大限尊重して市区町村教育委員会が判断する」と基本的な考え方を示した。

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