教育実践などで優れた成果を上げた教職員を顕彰する「文部科学大臣優秀教職員表彰式」が1月17日、文科省旧庁舎の会場とオンラインのハイブリッドで開催された。799人の被表彰教職員および54の被表彰教職員組織のうち、代表者85人が会場での表彰式に参加。また、記念講演には東京海洋大学名誉博士・客員教授のさかなクンが登壇し、自身の子供時代を振り返りながら「いつも僕のことに興味を持ち、応援してくれる先生がいてくれたから、今がある」と語った。
今年度表彰されたのは国立、私立学校を含む全国の幼稚園~高校の799人の教職員と54の教職員組織。学校教育における教育実践などに顕著な成果を挙げたとして推薦のあった教職員および教職員団体について、文科省が審査を行い決定した。
表彰式で永岡桂子文科相は「教師という職業は、子供たちの人生に多大な影響を与える尊い職業」と述べた上で、「この表彰をきっかけに、児童生徒のみならず、同僚や若手の教員に良い刺激を与えたり、教職を目指す学生に学校の魅力を伝えたりするなど、さまざまな場で自身の経験や思いを発信していってほしい」と力を込めた。
また、受賞者を代表してあいさつした福島県立会津学鳳高校の菅家奈未教諭は、同僚や生徒、保護者や地域の人に感謝を伝えた後、「この3月で東日本大震災、福島第一原子力発電所事故から12年がたつ。わが国はたびたび自然災害に見舞われ、私たちはその都度向き合い、そこに教訓を見いだし、教育活動に生かしてきた。そして現在は新型コロナウイルス感染症と向き合いながら教育活動をしている。これまでの当たり前が当たり前でなくなった今、過去の教訓を生かしながら、生徒の目標の実現に向けて一歩一歩、前に進んできた」と述べた。
同校はスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定を受けており、今年度は30社の地域企業などの協力を得ながら、地域資源を生かした効果的な課題研究プログラムの開発を行ってきた。菅家教諭は「日々の業務に追われながらの実施で、苦労や悩みも多く、決して楽しいことばかりではなかった。しかし、活動を通して生徒たちの無限の可能性を感じることができた。その可能性をさらに伸ばすために、授業をより良くするために、これからも多くの人たちと手を携えながら精進していきたい」と決意を述べた。
記念講演では、さかなクンが自身の子供時代を振り返りながら、学校での先生との思い出について語った。さかなクンは「小学2年生の時に友達が描いた、まるでノートから飛び出してきそうなタコの絵を見たときから夢中になっていった」と魚好きになったきっかけを説明。小学6年生の時、毎週、家庭学習で魚についての説明や詳細な絵を描いていたさかなクンに、当時の担任が「あなたの魚の絵や文章は職員室でも評判だよ。これを新聞にして、毎週廊下に貼り出そうよ」と言ってくれた。「休み時間に廊下をのぞき見すると、隣のクラスの子までもが僕の新聞を読んでくれている。とてもうれしくて、どんどん魚の新聞をつくるのが楽しくなっていった」と振り返った。
また、中学校では友人に誘われ、吹奏楽部に所属。当時の顧問の理科教諭とは今でも付き合いが続いているという。「中学校時代から今までずっと応援してくれている。僕がやっている番組に対して、『こういうところが面白かった。あんな映像をよく撮りましたね。魚って掘り下げると、こんなに面白いんだと気付かせてくれた』などと毎回、感想を送ってきてくれる」と笑顔で語り、「今があるのは、先生たちに当時も今も応援してもらっているから。先生たちにはそういう力があると思って、子供たちを育てていってほしい」と教職員にエールを送った。