全日本教職員組合(全教)が全国の組合員らを対象に初めて実施した「時間外労働に関するアンケート調査」で、勤務時間開始前と終了後に時間外労働をしている教職員がいずれも9割以上に達していることが分かった。全教が9月8日に公表した。また、約7割の教職員が持ち帰り仕事をしているのに加え、教員の未配置が発生している場合ほど時間外労働が増えている傾向が確認され、同組合は「長時間労働解消には教職員未配置の解消が最低条件であるとともに、教職員の抜本的な増員が必要だ」と訴えている。
全教は、毎年、教員未配置に関する調査を続けているが、教職員の時間外の労働実態についても初めて調べることになり、4月9日から7月11日までの間に全国の組合員を中心にホームページなどで幅広く参加を呼び掛け、1200人の教職員から回答を得た。
勤務時間開始より「何分前に学校に来ているか」の質問については、「勤務時間ちょうど」が2%、「1~30分前」が43%にとどまり、「31~60分前」が39%、「61~90分前」が12%など、全体の55%が31分以上前に出勤していることが分かった。「勤務時間開始前に行っている仕事(複数選択可)」については、「なし」が6%にとどまり、全体の94%が朝に時間外労働をしていることが判明。最も多いのは、「当日の授業や単元の準備」(76%)、次いで空気入れ替えなど「教室整備」(52%)、「校務分掌関係」(48%)などの順だった。また、校内に教員未配置が発生していると、「始業時間前61分以上の出勤」が7%高まるなど、未配置があると時間外労働が長時間になる傾向も伺えた。
また、勤務時間終了後に何分ぐらい残業しているか質問したところ、「0分(定時で退勤)」は3%にとどまり、97%が何らかの残業をしていることが分かった。30分間隔で見ると最も多いのは「91~120分以内」(23%)で、121分以上残っている人の合計は34%に達し、3人に1人は2時間以上校内に残っていることが伺える。
勤務時間終了後の仕事(複数選択可)で最も多いのは「翌日の授業や単元の準備」(82%)、次いで「校務分掌関係」(80%)、「事務処理(調査関係など)」(65%)、「子どもたちの提出物、添削など」(57%)の順だった。勤務時間開始前と同様、教員未配置が発生していると、時間外労働が長時間に及ぶ傾向が見られた。
一方、自宅への「持ち帰り仕事」について尋ねたところ、約70%が持ち帰り仕事をしていると答え、61分以上の持ち帰り仕事をしている割合が全体の約3割に上った。持ち帰り仕事(複数選択可)としては、「翌日の授業や単元の準備」(59%)が最多で、「校務分掌関係」(24%)、「子どもたちの提出物の添削など」(21%)と続いた。
さらに「土日の仕事について」も尋ねたところ、「0分(仕事はなし)」は25%にとどまり、4人に3人が土日にも仕事をしている状況が浮かび上がった。最も多いのは「241分以上」と「61~120分」でいずれも約17%に達した。
こうした結果について、記者会見した全教の板橋由太朗中央執行委員は「勤務時間前と終了後を合わせると時間外労働がこれほどになるのかと改めて現場の過酷さを実感した。特に土日の持ち帰り仕事は部活動関係も多いと思うが4時間以上が最も多く、中学校・高校の先生の負担の重さを実感した。全体を通してみると時間外労働の内容は授業(単元)準備が最も多く、未配置が多いほど長時間労働になる傾向が見られたことを考えると、長時間労働解消のためには、教職員未配置の解消が最低条件であり、教職員の抜本的な増員が必要だ」と強調した。