中教審生涯学習分科会は2月13日、第11期の最後となる第123回会合をオンラインで開き、次期の議論に向けて、今後の生涯学習・社会教育の振興方策の重点事項や具体策の案を検討した。具体策の案では工程表が加えられ、次期では新たにワーキンググループ(WG)を設け、社会教育主事講習の修了証書の在り方について検討することや、中学校の部活動の地域移行に関する学校教育と社会教育の連携強化などを明記した。
この日の会合で示された「今後の生涯学習・社会教育の振興方策」の重点事項案では、次期教育振興基本計画の方向性をにらみつつ、生涯学習・社会教育分野では、デジタルリテラシーをはじめとする生活を支えるリテラシーの向上と、地域づくりを支える社会教育の実現を柱とし、住民の生活と地域づくりの双方を支える役割を、社会教育人材・施設が専門性を生かして連携して担う体制を構築する「地域の学びと実践プラットフォーム」というビジョンを打ち出した。
その上で、重点事項として▽社会教育人材ネットワークの構築・展開による組織的な活用▽社会教育士等の講習・研修の充実▽社会教育分野での人材確保▽地域振興分野等での人材確保▽講習の受講機会の拡大等――を挙げ、それらに関する具体策案を整理。それぞれの具体策に対する工程表も提示した。
中でも、今期では十分に審議できなかった課題として、社会教育主事講習では各実施期間が修了証書を発行し、社会教育主事養成課程の場合は特段の定めがないことから、その在り方を次期分科会でWGを設置して検討するとしたほか、学校との連携では地域学校協働活動推進員の常駐化などにより、学校と地域の連携・協働体制を強化することや、地域課題の解決を通じた探究的な学びや教員の負担軽減につながる取り組み、学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行など、学校教育と社会教育の連携に関して優良事例を収集し、横展開を図るなどして連携強化を促すとした。
重点事項案と具体策案は中教審総会で報告され、次期に引き継がれる。11期の最後の会合にあたり、清原慶子分科会長(前東京都三鷹市長)は「これをバトンとして12期に渡していく。少なくとも現場感覚から離れない、激動の中で人々の生きる力を支える、そうした社会教育・生涯学習を作り上げていくことにつながればと心から思っている」と期待を寄せた。