都教委が独自の部活動ガイドライン案を公表 地域移行受け

都教委が独自の部活動ガイドライン案を公表 地域移行受け
都の教育に関する報告が行われた都教委定例会
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 2023年度から公立中学校の休日の部活動が段階的に地域移行されることを受け、東京都教委は2月16日、独自の「学校部活動及び地域クラブ活動に関する総合的なガイドライン」案を公表した。都教委では国が改革推進期間として定めた25年度末までに、全公立中学で部活動が何らかの地域連携・移行に向けた取り組みを実施することを目指すとした。3月3日までこの案に対する一般からの意見を募集し、同月23日に正式に公表する予定。

 文科省では生徒数の減少と教員の働き方改革の見地から、公立中学校の運動、文化両部の部活動を23年度から、まず休日について段階的に地域の指導者や運営主体に委ねることとした。当初は25年度までを「改革集中期間」として地域移行を完了させる予定でいたが、地域によって人や施設の確保の面で差がでてきそうなことから、12月に示したガイドラインでは、「改革推進期間」に変更し、それぞれの地域の事情に応じて移行を進めることを認め、「可能な限り早期の実現を目指す」として柔軟な姿勢に転じた。

 都教委では、この流れの中で部活動検討委員会を設置し、区市町村、都中体連、PTAの関係者らで持続可能なスポーツや文化芸術環境の構築に向けた協議と、地域連携・移行する際の課題整理を行ってきた。その上で、国のガイドラインに準じた独自のガイドライン案を作成し、この日の都教委定例会で公表した。

 都教委のガイドライン案には、学校部活動については、週当たり2日以上の休養日(平日1日、週末1日)を設けることとし、科学的トレーニングの導入で効果的な活動を推進すること、部活動指導員や外部指導者の配置で教員の負担軽減を図ること、スポーツ・文化芸術団体との連携で学校と地域が協働・融合した形で活動環境の整備を促進させることなどが盛り込まれた。

 新たな地域クラブ活動については、地域クラブ活動の運営団体・実施主体の整備充実、地域スポーツ団体、学校との関係者からなる協議会設置による連携強化、休日のみ活動をする場合も原則として1日の休養日を設定すること、活動場所となる公共施設の利用しやすい環境づくり、意欲ある教師の円滑な兼職兼業、質の高い指導者の確保などが細かく書き込まれた。

 学校部活動の地域連携や地域クラブ活動への移行に向けた環境整備については、25年度末には、全ての公立中学校で地域や学校の実態に応じ、地域連携・移行に向けた取り組みが行われていることを目指すとした。これについて都教委の担当者は「3年間取り組んだ末に、全ての公立中学校で何らかの形で地域連携、例えば外部人材を活用している、あるいは外部の委託などさまざまあるが、何もしていない学校がないように都として支援する」と説明。

 大会の在り方についても、地域クラブや複数校による合同チームも参加できるよう規定の見直しのほか、教員の働き方改革の観点から教師に引率させない体制の整備、参加が生徒に負担とならないよう大会そのものの精査の必要なども指摘された。

 この日の定例会では出席した委員から「最近は文化系、特に理数系のクラブで参加する生徒が少なくなっているので、学校の違う生徒たちをオンラインで結んで指導者をつけて活動する仕組みが必要ではないか」と指摘があった。「東京は大学が多いという特徴があるので、学生を活用していくという方策も考えられる。普段働いている人に夕方とか土日だけ指導してくれと言っても難しい。学生が教えることに楽しさや意義を見いだしてくれると、先生もいいかなと思ってもらえるかもしれない」との提案もあった。「部活動は学校だから安心なのであって、保護者からすると学校の先生ではない方が指導するということに不安がどうしても出ると思う。保護者の理解に向けて、丁寧な対応ができるようなガイドラインにしてほしい」との要望もあった。

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