2つのWGを新設、学校事故対応の指針改訂へ 有識者会議

2つのWGを新設、学校事故対応の指針改訂へ 有識者会議
iStock.com/Nuthawut Somsuk
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 安全で安心な学校環境の整備を議論する文科省の有識者会議の第3回会合が3月22日、オンラインで開かれた。今後4年間の検討議題として、同省が提示した6つのテーマのうち、特に課題が指摘されていた「学校事故対応に関する指針の見直し」と「学校における安全点検の在り方」について、来年度にワーキンググループを設置。指針の改訂も含め、優先的に議論する方針が示された。

 会議では冒頭、2026年度までの検討テーマとして、文科省が▽学校事故対応に関する指針の見直し▽危機管理マニュアル等の見直し・実効性を高める方策▽学校安全を推進するための組織体制の在り方▽学校における安全教育の取り組みのさらなる充実▽学校における安全点検の在り方▽学校事故予防に向けたデータの活用と施策の検証――の6点を提示。このうち、「学校事故対応に関する指針の見直し」と「安全点検の在り方」については4月以降、同会議の下にワーキンググループを設置し、優先的に検討に着手する。メンバーは同会議の委員に加え、大学教員や民間事業者など外部人材も想定している。

 16年に作成した「学校事故対応に関する指針」においては、学校現場で重大事故・事件が発生した際の情報公開や調査に対する学校や設置者の対応などがまとめられている一方、指針を想定した取り組みが進んでいないという指摘もあり、ワーキンググループでは指針の改訂に向けて、議論を進める。

 また、学校点検については、3月3日に消費者安全調査委員会が報告書を公表している。報告書では、固定されずに積み重ねられたロッカーや棚といった小中学生が死亡する危険のある施設や設備が、同調査委の訪問した全ての学校において確認されたと指摘。効果的な安全点検の手法が標準化されていないことや厳しい勤務実態の中で、安全点検を支援する体制が不十分であることを課題に挙げている。

 報告を受け文科省は同日、春休み期間などを利用して転落や落下の危険性がある場所について、報告書に記された危険事例を参考にレイアウトを変更するなど、速やかな対応を行うよう全国の教育委員会などに対し周知した。

 これらの問題について、小川和久委員(東北工業大学総合教育センター教授)は「事故のリスクというのは、環境と子供の行動との対応関係で決まってくる。子供がどういうふうに行動しているかを見て危険を抽出しなければ、本当の意味でのリスクマネジメントはできない」と強調。事故の多い場面において、子供がいる状態で点検することが重要とした。

 桐淵博委員(日本AED財団理事/元さいたま市教育長)は「施設管理を行っている教育委員会の足腰を強くする意味でも、教育委員会がきちんと学校をチェックしていけるような後押しをする必要がある」と指摘。教育委員会などに対し、モデルや指針を示すことを文科省に求めた。

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