岸田文雄首相が掲げる「異次元の少子化対策」の実現に向け、小倉将信こども政策担当相が取りまとめた試案(たたき台)を具体化させる「こども未来戦略会議」が4月7日、首相官邸で開かれた。昨年の出生数が80万人を割り込む中、政府は2030年代に入るまでのこれから6~7年間が少子化傾向を反転できるかどうかのラストチャンスと位置付けており、同会議でたたき台の「加速化プラン」などをもとに議論していく。
同会議は全世代型社会保障構築本部(本部長:岸田首相)のもとに、首相自らを議長として関係閣僚、有識者、子育ての当事者、関係団体などによって構成された。同会議で議論される少子化対策のたたき台は3月31日にまとめられ、児童手当の所得制限撤廃、給食費無償化の検討、奨学金制度の拡充など優先すべき施策を「こども・子育て支援加速化プラン(加速化プラン)」として、今後3年間に集中して取り組む方針を示している。このたたき台をもとに戦略会議では、具体的な内容、予算、財源を含めて施策の肉付けを行い、6月の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」までに将来的な子供・子育て予算倍増の大枠を示すこととしている。
会合後に会見した後藤茂之全世代型社会保障改革担当相によると、会合では小倉担当相からたたき台の説明がされた後、各構成員が発言。「政権の最重要課題として少子化対策が位置付けられ、子供子育て政策の強化についての試案が取りまとめられたことは評価できる」「政府が政策を推進するだけでなく、中小企業を含めた企業で子育てする職員が働きやすい環境を整えることや、社会全体が子育てをするという意識に変わっていくことが必要だ」「男女が共に働き子育てをしていくことができるように、柔軟な働き方の推進や、多様な働き方と子育ての両立への支援が必要だ」「子供子育てに関わる既存の制度は縦割りとなっており、若者子育て世帯に対して妊娠・出産・子育てを通じた切れ目のない包括的な支援を提供できるように、総合的な制度体系を構築するという視点が重要」「子供子育て政策の強化に関する財源については恒久的・安定的な財源の確保が重要で、広く社会全体で支え合うべきだ」などとする意見があったという。
「こども未来戦略会議」有識者構成員は次の通り。
▽秋田喜代美学習院大学文学部教授▽荒木泰臣全国町村会会長▽遠藤久夫学習院大学経済学部教授▽奥山千鶴子NPO法人子育てひろば全国連絡協議会理事長/認定NPO法人びーのびーの理事長▽権丈善一慶應義塾大学商学部教授▽小林健日本商工会議所会頭▽櫻井彩乃 GENCOURAGE代表▽清家篤日本赤十字社社長/慶應義塾学事顧問▽高橋祥子ジーンクエスト取締役ファウンダー▽武田洋子三菱総合研究所研究理事シンクタンク部門副部門長(兼)シンクタンク部門統括室長(兼)政策・経済センター長▽立谷秀清全国市長会会長▽十倉雅和日本経済団体連合会会長▽冨山和彦経営共創基盤 IGPI グループ会長/日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長▽中野美奈子フリーアナウンサー▽新浪剛史サントリーホールディングス代表取締役社長▽新居日南恵NPO法人manma 創業者・理事▽平井伸治全国知事会会長▽水島郁子大阪大学理事・副学長▽芳野友子日本労働組合総連合会会長