小学校の教科担任制が拡大 小5理科62.1%、外国語47.8%

小学校の教科担任制が拡大 小5理科62.1%、外国語47.8%
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 文科省は4月20日、公立小中学校の授業時数や個に応じた指導の実施状況などをまとめた「教育課程の編成・実施状況調査」の結果を公表した。2022年度から本格的に導入された小学校高学年の教科担任制は、現行の学習指導要領が全面実施される前の18年度と比べ、全ての教科で実施割合が拡大。文科省が優先的に専科指導の対象とする4教科(外国語・算数・体育・理科)を見ると、理科が小学校5年生で62.1%、6年生で65.4%、外国語が小学校5年生で47.8%、6年生で48.9%と高く、算数や体育では10~20%台と低いなど、教科によりばらつきがあったものの、いずれの教科でも改善が見られた。

 同調査では、複数の教師が協力して行う指導(ティーム・ティーチング)で実施するもの、別の学級・学年の教員が実施するもの、中学校・高校の教員が兼務して実施するもの、非常勤講師が実施するものなど、さまざまな形態による教科担任制の実施状況を調査。各教科等の一部のみの場合や、年度途中から導入する場合も、実施しているものと見なしている。

 

 調査結果によると、外国語は小学5年生で47.8%(18年度比29.5ポイント増)、6年生で48.9%(同29.6ポイント増)で、18年度の学習指導要領改訂に伴い「外国語活動」から「外国語」に移行しているため単純比較はできないものの、5年生、6年生ともに約30ポイント上昇した。理科も小学5年生で62.1%(同17.0ポイント増)、6年生で65.4%(同17.6ポイント増)と改善が見られた。対して算数では、小学5年生で15.6%(同8.3ポイント増)、6年生で15.9%(同8.7ポイント増)と、それぞれ2割に満たなかった。体育は小学5年生で22.4%(同12.5ポイント増)、6年生で21.7%(同11.2ポイント増)と、割合は低いものの、それぞれ10ポイント以上改善した。

 文科省の担当者はこの結果について、「本格実施初年度の計画で、優先して専科指導の対象とすべき教科全てで実施の割合が増加しており、順調に伸びている。ここから4年程度をかけ、段階的に進めていきたい」と評価した。

 調査の中では他にも、21年度に実施した年間総授業時数を尋ねており、全国平均は小学5年生で1059.9単位時間、中学2年生で1058.5単位時間だった。一方で標準授業時数の1015単位時間に満たなかった学校は、小学5年生で16.8%、中学2年生で18.1%あった。

 さらに22年度の計画を尋ねたところ、年間総授業時数の全国平均は小学5年生で1078.3単位時間、中学2年生で1073.9単位時間だった。総授業日数の全国平均は小学5年生で201.8日、中学2年生で201.9日、夏季休業の全国平均は小学5年生で36.7日、中学2年生で36.1日だった。

 また22年度、個に応じた指導を計画した学校は小学校で84.9%、中学校で77.3%を占めた。このうち、指導類型で最も多かったのは「補充的な学習」(小学校 93.7%、中学校 91.4%)だった。その他、「生徒の興味・関心等に応じた課題学習」が小学校で51.0%、中学校で43.7%、「発展的な学習」が小学校で45.7%、中学校で42.4%だった。ティーム・ティーチングを計画した学校は小学校で68.6%、中学校で77.7%に上った。また少人数指導は小学校で39.3%、中学校で47.1%にとどまった。

 同調査は無作為に抽出した公立小学校(義務教育学校前期課程含む)1235校、公立中学校(義務教育学校後期課程、中等教育学校前期課程含む)1243校を対象に、昨年12月12日から今年の1月16日にかけて実施された。

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