教科書採択で発行者との接触を禁止 大阪府藤井寺市教委

教科書採択で発行者との接触を禁止 大阪府藤井寺市教委
iStock.com/MicrovOne
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 市立中学校の教科書選定を巡り教科書選定委員だった元校長が大日本図書に便宜を図っていた汚職事件を受け、大阪府藤井寺市教育委員会は教科書採択手続き期間中に全ての教職員など学校関係者に対して、教科書発行者と面談や電話などの手段による接触を禁止するルールを設け、4月20日に市内の各学校と各教科書会社に通知した。同市教委では事件の検証を行っていた第三者委からの調査報告書をもとに、再発防止策を検討していた。一方の大日本図書側もホームページ上で、社内規定を見直し社内ガバナンスを強化するなどの改善策を明らかにしている。

 同市教委が新たに作成した「藤井寺市教科書採択関係者と教科書発行者との接触等のルール」では、教科書採択手続き中に「全ての採択関係者が教科書発行者と接触することを禁止する」と明記。採択関係者とは、教委関係者または学校長や教職員を含む全ての学校関係者などで、具体的に接触とは、教科書発行者と職場だけでなく自宅などあらゆる場所で直接またはオンラインで面談することや、電話、メールで連絡することを指すとした。採択手続き期間外に、教職員が教科書発行者と接触する、またはした場合は、学校長を通じて市教委へ報告書を提出することとした。教科書発行会社と思われる人物と接触している教職員を見聞きした場合は、学校長だけでなく市教委担当事務局に連絡するよう求めている。

 また教科書執筆の場合を除き、教科書発行者からの金銭などの報酬の受領は認めず、飲食やマージャン、ゴルフ、旅行を共にしたり、教科書発行者主催の懇親会への参加や宿泊費を受領したりすることも禁止した。

 市教委ではこれらのルールを市のホームページに掲載するとともに、学校ならびに全教科書発行者へ通知し、周知を図った。

 一方、大日本図書側も15日にホームページで不適切な営業活動があったことに反省の意を表した上で、再発防止策を掲載し、「今後は全社を挙げて再発防止に徹底的に努め、社会の信頼に足る企業へと再生することを強く決意いたします」としている。同社では従来の「コンプライアンス委員会」の構成を見直し、社外からの教科書行政に詳しい有識者を起用するなどして社内外双方からのチェック機能を備えるとともに、取締役会からの独立性を高め、その機能・権限を強化するとした。さらに、再発防止に向けては、社員それぞれの意識改革と実効性ある諸規定への取り組みが重要であるとして、業界ルールである「教科書発行者行動規範」の順守徹底と採択勧誘のための過度な営業活動の禁止を掲げている。

 文科省は事件を受けて、すでに2023年度の教科書検定で同社の中学校の教科書「数学」「理科」「保健体育」について、申請されても不合格とする処分を行っており、同社も申請しないことを明らかにしている。

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