自主的な学校運営実現に向けた支援体制を議論 協力者会議

自主的な学校運営実現に向けた支援体制を議論 協力者会議
教育委員会の機能強化について議論した協力者会議(YouTubeで取材)
【協賛企画】
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 文科省は5月15日、教育委員会の機能強化について議論する調査研究協力者会議の第13回会合をオンラインで開いた。この日は学校運営の支援のために教育委員会が果たすべき役割について、文科省が論点をまとめた。学校が主体的かつ機動的に教育活動を行うために、教育委員会が持つ権限を学校に移すことや、教員の働き方改革における学校事務職員との連携の在り方などが示された。

 文科省が示した論点では、▽学校の自主性・自律性を促す取り組みの実施▽指導主事に係る体制整備の支援▽教員が職務に専念できる環境整備――の3点を国や教育委員会が取り組むべき方策とした。

 自主的・自律的な学校運営のためには教育活動面だけでなく、学校予算についても裁量の拡大が重要と強調。一例として、学校の企画・提案に基づいた予算配分など各学校の意欲や意向が反映されやすい予算の編成や、校長の裁量によって執行できる予算措置を挙げた。また、そのための財源として自治体の予算だけでなく、柔軟に活用できる地域や民間企業からの寄付とふるさと納税、クラウドファンディングといった方法を提案した。

 さらに、意欲ある校長のリーダーシップの下に、各学校が創意工夫しながら進むことができる環境を整えるためには、副教材の使用や休業日の変更、学期の設定といった教育委員会が有する権限を積極的に委譲していくことが必要とした。

 教員が職務に専念できる環境整備に関しては、教員業務支援員やスクールカウンセラーだけでなく、学校事務職員も重要な固有の役割を担っていると指摘。教員の負担軽減や学校事務処理の効率化を検討する際は、教育委員会だけで行うのではなく、学校現場の実情をよく知る事務職員の知見を取り入れることで、より実効的な対応ができるとした。

 続けて、効率的に事務処理を行うことのできる体制整備として、共同学校事務室やセンターの設置が有効と強調。また、小規模自治体を包含する体制については、都道府県が主導した事例を周知することが必要とした。

 小規模自治体に対しては、指導主事についても、配置されていない自治体が2020年度時点で約3割あるとし、特に支援を検討する必要があるとした。

 学校の裁量権拡大について、岩本悠委員(地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事、島根県教育魅力化特命官)は、予算確保の面で言及。「ふるさと納税や寄付を集められる仕組みができていない自治体が非常に多い」と述べ、最低限の仕組みを国が整備し、事例と合わせて周知する必要があるとした。

 戸ヶ﨑勤委員(埼玉県戸田市教育委員会教育長)は、学校の裁量権を拡大する上での留意点を指摘。「学校の自主性・自律性を促す取り組みは社会全体の理解が伴わないと厳しい。同じ公立学校でどうしてこれだけ違うのだと指摘されることが往々にある」と語り、保護者や地域社会の協力が不可欠とした。

 会合の最後、これまでの会合で議論された論点を取りまとめるための骨子案を文科省が示した。令和の日本型学校教育を推進する地方教育行政の充実に向けた方策として、▽教育委員会の機能強化・活性化▽教育委員会と首長との連携の在り方▽学校支援のために教育委員会が果たすべき役割――の3点を挙げた。

 さらに、優先的課題として取り上げた小規模自治体への対応と広域行政の方策についても記述。人材確保やデジタル技術の活用といった観点から今後、解決の手だてをまとめる。

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