東京都教委は5月17日、グリー(本社:東京都港区)と共同で中高生の情報リテラシー育成を目的としたデジタル教材を作成し、公開した。スマートフォンやタブレット端末を使用する際に、実際に起きている事例を取り上げ、知識を得ることで、インターネットやSNSの正しい活用について、理解促進を図る。
教材名は「考えよう!デジタルリテラシー」。IT技術の進化で問題になっているトラブルの事例を解説している。取り上げた事例は、▽きわどい自撮り写真!自分で自分を撮影するのならOK?▽LINEで気持ちを伝える。あり?なし?▽ポスターコンテストの優勝作品、実はAIが描いていた。どう思う??――の3ケース。
それぞれのケースの問題点について分かりやすく解説しており、例えばAIに関しては、「急速に発達し、個人や社会にとって役立つ」といったメリットがある一方、「まだ発展途中の技術であるため、法律などの整備が追い付いておらず、フェイクニュースの原因にもなる」など負の側面も記している。
さらに、「AI作品が優勝したことについて、あなたはどう考えるか」や「あなたはAIサービスをどのように活用したいか」といった議論の土台となる問題も掲載。生徒自らが考え、話し合うことでインターネットやSNSを正しく使いこなす力の向上を目指す。
東京都が2021年度に行った調査によると、インターネット利用時にトラブルや嫌な思いをしたと答えた生徒は中学生で5.6%、高校生で4.7%となっている。今年度中に、事例を6つ程度追加する予定で、教育庁総務部教育政策課は「生徒の実態に応じて、通常の授業に加え、特別活動や朝学習で活用してほしい」と話している。
この取り組みは21年に都教委とグリーが締結した共同研究プロジェクトの一環で行われた。同プロジェクトでは、児童生徒の健全な育成のため、インターネットやゲームとの望ましい関わり方につながる効果的な指導法や教材などを開発。都内の公立学校における生活指導や情報モラルに関する教育の充実を図っている。
デジタル教材「考えよう!デジタルリテラシー」はこちらへ。