日本に住む外国人が増え、日本語教育の需要が高まる中、5月に日本語教育機関認定法が国会で成立したことを受け、超党派で作る「日本語教育推進議員連盟」は6月28日、永岡桂子文科相に対し、同法が確実かつ効果的に施行されるよう、文科省に専任の課を設ける体制強化などを求めた提言書を手渡した。
文科省を訪れたのは、同連盟の会長を務める柴山昌彦元文科相ら4人。
日本語教育を巡っては、6月21日まで開かれた第211回国会において、日本語教育機関認定法が成立。日本語教育の適正かつ確実な実施を図るため、教職員の体制や施設設備など一定の要件を満たす日本語教育機関を文科相が認定。日本語教育を受けたい外国人などに情報提供を行うことなどを定めた。日本語教員の国家資格を創設し、試験に合格して実践的な研修を受ければ、「登録日本語教員」となることができるようになった。来年4月から施行される。
提言書では、2022年度末の在留外国人が過去最高の約300万人となり、10年で100万人近く増加したことを受け、「外国人材が安心して活躍できる日本語教育の環境整備は急務。今後、さらに、関係省庁が一体となって取り組むべき体制を作るべきだが、脆弱(ぜいじゃく)と言わざるを得ない」と指摘。外国人が誰一人取り残されないように日本語を学ぶ機会を充実させるとともに、地域における多文化共生社会を実現するため、▽日本語教育の政府における体制強化▽認定法の活用促進に向けた関係省庁の連携促進▽海外の日本語教育の振興――を求めた。
具体的には、法律の施行に必要な業務を万全に行うため、文科省に専任の課を設けて、十分な職員を配置することとした。手交後、取材に応じた柴山会長は「70人規模の定員増が必要になるという話もある。抜本的な機構・定員の改革をすることが重要」と強調した。
さらに、留学生・就労者・生活者に対する日本語教育の環境が整備されるよう、具体的かつ効果的な方策を検討し、推進するために必要な予算措置や地方財政措置を行うことや海外における情報提供、日本語事業の継続・拡充を要望した。
柴山会長は永岡文科相との受け答えについて、「今回の法律成立は重要なもの。尽力していきたいとのことだった」と明かした上で、「実際に走りだした時に、どういう形で影響が出るか。処遇の問題についても、懸念しているところがある。しっかりとした目配りをお願いした」と話した。