教員にならない理由「長時間労働」が79% 岐阜県教委が学生調査

教員にならない理由「長時間労働」が79% 岐阜県教委が学生調査
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 岐阜県教育委員会は8月21日、教員養成課程のある県内7大学の4年生を対象にした「教職魅力化に関する大学生調査」の結果を公表した。教員にならなかった理由を尋ねたところ、「休日出勤や長時間労働のイメージがあるから」が79.0%、「職務に対して待遇(給与など)が十分でないから」が64.4%など、労働環境を理由に挙げる学生が過半数を超えていた。一方で授業やいじめ問題の対応など、教員としてのスキルへの不安を挙げる学生も一定数いた。これらの結果を受け、同県教委は大学と連携した取り組みや、若手の教員に対するフォロー体制の充実などに注力する方針。

 教員にならなかった学生にその理由を尋ねたところ、「当てはまる」の回答が最も多かったのは「他にやりたい仕事が見つかったから」(88.4%)だったものの、「休日出勤や長時間労働のイメージがあるから」(79.0%)、「職務に対して待遇(給与など)が十分でないから」(64.4%)と、労働環境を挙げる学生が目立った。教員に必要なスキルに対する不安も挙げられ、「教員としての適性がないと感じたから」(54.6%)、「授業ができるか不安だから」(53.3%)、「いじめや問題行動への対応ができるか不安だから」(49.4%)と続いた。そのほか、48.1%が「教育実習が大変だったから」と回答した。

 一方、教員になる学生にその理由を尋ねたところ、「児童や生徒と関わることが好きだから」が96.5%で最も多かったほか、「自分の取得する免許の教科・領域が好きだから」(91.3%)や「さまざまな問題を抱えた児童や生徒を支えたいから」(78.6%)など、教職の魅力ややりがいを挙げる声が目立った。「仕事として安定しているから」が90.8%と高い割合を示したものの、「給料がいいから」(59.9%)や「産育休を取りやすい環境があるから」(53.8%)など給与や産育休についての回答は少ない傾向にあった。また82.1%が「教育実習で教職の魅力に触れたから」と回答した。

 これらの結果を受け同県教委の担当者は「進路が確定し、教員にならないと決めた学生の率直な意見を聞けたのは意義のあること。(教員にならない理由で)労働環境は想定内だった一方で、授業やいじめ問題、保護者対応など教員としてのスキルに対する不安を理由に挙げる学生が多かった。教育委員会としても、こうした学生たちの不安にしっかり向き合い、大学と連携した取り組みや採用後のフォロー体制などを充実させたい」と説明した。

 調査は今年3月、教員養成課程のある県内の7大学の4年生を対象に実施し、同県では初めての試み。対象者の37.3%に当たる273人が、オンライン経由で回答した。

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