男女別の県立高校の共学化を推進すべき 埼玉県教委に勧告

男女別の県立高校の共学化を推進すべき 埼玉県教委に勧告
iStock.com/Toru-Sanogawa
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 県立高校の男子校、女子高について、埼玉県の男女共同参画推進条例に基づく苦情処理機関として設置されている県男女共同参画苦情処理委員は8月30日、県教委の日吉亨教育長に対し、共学化の推進や男子校の管理職の女性割合の増加などを求める勧告を行った。勧告では「歴史や伝統の尊重や各学校の主体性等の尊重を伴いながらも共学化を進めることは何ら不可能なことではない」と指摘した。

 埼玉県内には4月1日時点で、県立高校の男子校が全日制課程5校、定時制課程1校、女子高が全日制課程7校、定時制課程1校あり、県立高校のうち8.8%が男女別学となっている。これまでも苦情処理委員に対して、県立高校の男女別学の解消を求める申し出があり、2001年に県教委に対して勧告が行われていたが、県教委は男女別学の県立高校について「長い歴史と伝統を持ち、県民の高い評価と在校生、卒業生、保護者、あるいは地域住民の根強い愛着があり、強く支持されている」とし、「将来にわたって共学化を進めていくという立場に立ちながらも、本県の数少ない別学校は、多くの県民の強い支持があること、各学校の主体性を尊重する必要があることなどから、早期に共学化を実現するという結論には至らなかった」とする報告書をまとめていた。

 今回の勧告にあたって、苦情処理委員は改めて男女別学の県立高校の状況などを調査。校長や教頭などの管理職について、男子校は全て男性が占めていることや、目指す学校像として、男子校はリーダーへの教育を目標に、女子高は地域に関連したことを目標に掲げる傾向があることなどを指摘した。

 その上で、勧告は「歴史や伝統の尊重や各学校の主体性等の尊重を伴いながらも共学化を進めることは何ら不可能なことではない」とし、県教委が県立高校の共学化を施策として推進していくことを求めたほか、男子校における管理職の女性割合の増加などの取り組みを進めるべきだとした。

 勧告に法的拘束力はないが、苦情処理委員は県教委に対し、来年8月31日までに報告書を出すことを求めている。

 県教委の日吉教育長は8月31日、勧告を受けて「今回の勧告については、社会状況等の推移を踏まえた教育を実施していくという観点から、関係する方々の意見も丁寧に伺いながら、十分に検討していく」とのコメントを発表した。

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