東京都教育委員会は9月5日、保護者や地域住民を対象として、教員の「働き方改革」への理解や協力を求めるメッセージを出した。都教委がこうしたメッセージを出すのは2018、19年度に続き3度目となる。5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが「5類」に移行し、これまで自粛・縮小していた学校行事を元に戻すよう求める声があることなどを踏まえ、改めて理解を求める内容となっている。
小中学校用と高校用の2種類を用意。いずれも教員の勤務時間は8時間半と定められており、早朝や夕方以降は勤務時間外であることを強調している。全国の公立小中学校に勤める教員の2人に1人が国の基準(月45時間)を超える時間外勤務を強いられており、特に中学校では過労死ラインとされる月80時間を超える教員が4割近くに上ることや、都内の高校の教員の約6割が国の基準を超える時間外勤務に従事していることを説明した上で、負担軽減に向けた理解と協力を求めている。
メッセージでは、現場で実施されている「働き方改革」の事例として、留守番電話の導入や学校行事の精選、地域移行を含めた部活動改革などを示した。こうした取り組みの結果、▽夜間や休日、学校閉庁日には電話がつながらないことがある▽「コロナ禍」が終わった後も、学校行事の統合や縮小などを引き続き進める場合がある▽部活動の対外試合の引率などを部活動指導員が担い、教員が同行しないことがある??といった趣旨の説明をしている。また、小中学校については、祭りなどの地域行事に教員が招かれても、参加できないケースがあることを付け加えた。
都教委はメッセージをホームページで公開しており、都内の公立学校に対しては、保護者や地域住民にメールなどで知らせるよう促している。担当者は「秋は学校や地域の行事が多いこと、教員の『働き方改革』に注目が集まっていることから、改めて周知することにした」と話した。