【適応指導教室を改革する(9)】校内教育支援センターの設置に向けた課題

【適応指導教室を改革する(9)】校内教育支援センターの設置に向けた課題
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 今年度から中学校の校内教育支援センター(校内適応指導教室)の巡回指導を始めました。校内教育支援センターは長年の私の念願でもありました。子どもにとって、適応指導教室から教室へのハードルはかなり高いものです。また、いったん休み始めてしまうと、学校に入ること自体が難しくなります。未然防止や早期対応、そして教室復帰へのステップ。居場所の選択肢を増やす意味でも、校内教育支援センターの果たす役割は大きいと考えています。

 今年3月に文科省が出した「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策」(COCOLOプラン)でも、学びの環境の整備の一つとして校内教育支援センターの設置が挙げられ、その促進が要請されています。

 校内教育支援センターについては、期待を寄せるとともに、幾つかクリアしなければならない課題もあります。適応指導教室も同じですが、状況も目的も大きく異なっている子どもたちを一緒に支援することになるからです。子どもの状態像をしっかりと見立てていくことが必要になります。

 校内の共通理解も大きな課題です。不登校や不登校支援に対する考え方は、千差万別です。研修で「先生にとって、不登校の解決とはどんなことですか?」と質問をすると、「その子が笑顔になること」から「学校復帰」までさまざまな解決像があることが分かります。そうした状況が、不登校支援や校内教育支援センターでの対応について、教員間での温度差を生んでいるように感じます。何を目的にしてどのような活動をするのか、先生はどのように関わっていくのかなど、共通理解の下に具体的な方法を考えていく必要があります。

 また、校内教育支援センターを運営する人員をどう確保するのかという問題もあります。不登校支援は学習面、発達面、心理面、社会面など多岐にわたります。スクールカウンセラーなど校内の資源とともに、スクールソーシャルワーカー、支援員などの外部人材も必要になります。多彩な人材を確保した上で役割分担を行い、情報共有をしながら協働していくことが必要です。

 巡回指導をするようになって気付いたことがあります。それは各校での工夫や成功例、失敗例が共有されていないことです。幅広い情報や方法論が共有され、より良い校内教育支援センターの整備や不登校支援の向上につながっていけばいいなと思っています。私もその一助となれるよう、さらに学んでいこうと決意を新たにしています。

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