がっこうかっぱの生まれた日

がっこうかっぱの生まれた日
山本悦子 作 市居みか 絵 童心社 1320円
【協賛企画】
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 舞台は第二次世界大戦の日本。かっぱのコケマルはある日、池に落ちた少女のちよを救う。このことをきっかけにちよはコケマルに、学校のこと、疎開したこと、戦争のことなど、いろいろ話しをして仲を深める。

 冬になるとちよはコケマルの前に姿を見せなくなるが、桜が咲き始めた時期に再びコケマルの前に現れ、「あたしね、村からでていくのよ」という。コケマルは「せんそうは、おわったんだな。お父ちゃんとお母ちゃんのところにもどれるんだな」と安堵するが、ちよは「ううん。そうじゃないの。あたし、もらわれていくの」と口にする。

 コケマルの「おとなのにんげんはきらいだ」という言葉に思わず共感したくなる。

 戦争の恐ろしさを真正面から突き付けるが、ほっこりするラストに胸が温かくなる。

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