(鉄筆)「日本版DBS」のさらなる検討を

(鉄筆)「日本版DBS」のさらなる検討を
【協賛企画】
広 告

 東京都内の中学校の校長が元教え子のわいせつ画像を所持していたことで警視庁に逮捕され各方面に大きな衝撃を与えている。加害者が勤務する中学校の生徒の精神的ケアを教委はじめ関係者は最優先で対応してほしい。

 こども家庭庁が「日本版DBS(Disclosure and Barring Service)」の創設に向け動き出した。「日本版DBS」のモデルとなったイギリスをはじめ、わいせつ犯に対し厳格な内容の法令を持つ国は30カ国ほどある。アメリカ(メーガン法)や韓国(青少年保護法)では性犯罪歴を持つ人間にGPS端末を装着し常時監視するシステムを導入している。

 「日本版DBS」の創設の動きに一部の人権団体などから反対の声があると聞く。2004年に奈良で起きた女児誘拐殺人事件を契機にメーガン法を参考にした法制化の動きがわが国にもあったことはあまり知られていない。受刑者の人権やプライバシー保護などを理由に見送られた。わが国では、第二、第三の被害者が出ることを防ぐ抜本的な対策に踏み切れなかった。

 性被害の対象となった人間は加害者が検挙され服役したとしてもその傷を一生背負って生きていく。ましてやそれが子供であればなおさらだ。冒頭の校長に被害を受けた生徒も数年後に教委の窓口に相談し事件が発覚した。その間の本人の葛藤が伝わる。

 再犯率が高いといわれるわいせつ行為で行政処分された人間を二度と教壇に立たせないためにも、実効性の高いシステムとなるよう「日本版DBS」のさらなる検討を願うばかりである。

広 告
広 告