今年の夏は記録的に暑く、ようやく秋の気配が感じられるようになった。今年5月、ある小学校でプール開きに向けて注水をしたが止水されず溢水(いっすい)する事故があった。教委は校長と担当教員に賠償を求めたという。
市民から、処分は教員不足を加速させるのでは、という声が上げられた。教育誌には教員の賠償責任について法律の専門家が見解を寄せていたが、ここではそれには触れない。問題は「この業務は教員が担うべきものなのか」ということだ。
体育主任を務める教員から、水泳指導の時期は悩みが大きいと聞いた。その一つがプールの浄水管理である。ろ過装置やプールの排水や注水の操作など学校によってその仕方は異なり、異動すると最初から覚えなくてはならない。他の教員に操作方法を覚えてもらうより自分でやった方が早いという。
特に注水の時間帯は、近隣住宅の水道の出が悪くならないように食事の準備の時間帯を避けるため勤務時間外の遅い時間になることもある。今、働き方改革は、教員の意識が薄れ手詰まりを感じている学校もある。8月に中教審の質の高い教師の確保特別部会から「教師を取り巻く環境整備について緊急的に取り組むべき施策」が緊急提言された。
柱の一つに「学校・教師が担う業務の適正化の一層の推進」がある。真にこれを実行しようとするなら、学校も教委も教員の業務の全てを洗い出し、必要となる費用などの条件を考慮せずに「教員が担うべきかどうか」という観点のみでふるい分け、改善策を検討することが必要だ。