不登校・いじめ対策パッケージを正式決定 自治体に支援強化促す

不登校・いじめ対策パッケージを正式決定 自治体に支援強化促す
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 2022年度の全国のいじめ認知件数や不登校の児童生徒数が過去最多を更新したことを受け、文科省は10月17日、すぐに取り組むべき対応策をまとめた「不登校・いじめ 緊急対策パッケージ」を正式決定し、全国の都道府県政令市の教育委員会などに通知した。24年度予算の概算要求に盛り込んでいたGIGAスクール端末などを使った「心の健康観察」の導入促進、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)の配置拡充といった政策を10月中に政府が策定する総合経済対策に前倒しで盛り込む方針を示し、各教委に不登校の児童生徒の居場所づくりやGIGAスクール端末の活用を加速させるよう求めた。

 文科省が4日に公表した22年度の「児童生徒の問題行動・不登校調査」では、不登校の小中学生が約29万9000人、高校と特別支援学校も含めたいじめ認知件数は約68万2000件といずれも過去最多を更新した。また、小中学生・高校生の自殺者数も411人と20年度に次いでワースト2位となった。これを受け、文科省は16日、関係省庁の合同会議で緊急的に取り組む政策をまとめたパッケージ案を示していた(本紙2023年10月16日付電子版「不登校・いじめ対策を前倒し 首相が指示、総合経済対策に」)。

 通知は国がパッケージに基づいて進める政策を説明するとともに、各教委などに期待する取り組みを示した。不登校対策では、不登校の児童生徒の居場所となる「スペシャルサポートルーム」などの校内設置を進めたり、不登校対策の拠点となる「教育支援センター」のICT環境を整えることで、これまで支援を受けられなかった子どもたちをサポートしたりするよう求めた。いじめ対策では、問題行動・不登校調査の結果、「重大事態」と認定されたいじめの約4割が、学校側が把握した時点で既に重大事態に発展していたことを踏まえ、要因を分析したり、早期発見に向けた取り組みを実施したりするよう要請した。

盛山文科相「様々な学びの場を作る」

 盛山正仁文科相は通知に合わせ、全国の児童生徒と教育関係者に向けたメッセージを公表した。子どもたちには「全国でさまざまな学びの場を作り出していくので、学校に行くのが苦しくなったときや、悩みがあるときは積極的に活用してください」と呼び掛けた。一方、教育関係者に対しては、子どもたちのSOSを早期に把握して対処するとともに、さまざまな学びの場を作り出し、さまざまな支援策について子どもや保護者に積極的に知らせるよう求めている。

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