夜間中学の設置を全国的に広げようと活動している超党派の国会議員でつくる「夜間中学等義務教育拡充議員連盟」は11月6日、盛山正仁文科相に提言書を手渡した。大阪市の夜間中学2校が来年4月に統合移転する計画を受け、同市を含めた全国で夜間中学を1校でも多く設置できるよう自治体への支援を求めたほか、夜間中学の認知度を高めるための広報活動への注力を要望した。
大阪市では、市立文の里中学校と市立天王寺中学校の両夜間中学を、来年4月に新設する学びの多様化学校の市立心和中学校に統合移転する方針を示している。これを受けて同連盟は先月31日に横山英幸大阪市長と面会し、計画の抜本的な見直しを求めた。
一方、同市は統合の理由について、両夜間中学の小規模化を挙げたほか、日本語指導が必要な生徒が増加しているため指導体制を整備する必要があるなどと説明している。
提言書では、夜間中学の設置について全ての都道府県・政令市に少なくとも1校を設置するだけでなく、1校でも多く設置できるよう自治体の取り組みを支援することを改めて国に求めた。また夜間中学は一般的な認知度がいまだに低いとし、同省が昨年3月に作成した広報動画の周知や、ポスターを掲示する場所の拡大など、広報活動に一層注力するよう要望した。
夜間中学を巡っては、同省は今年9月、全国の都道府県教育委員会などに対して、設置や充実に向けた取り組みを加速させるよう書面で求めた。今年4月時点で23都道府県・政令市に44校あり、2025年度までに36都道府県・政令市58校に拡大する予定。