全国知事会、全国市長会、全国町村会の地方3団体は11月9日、教員の長時間労働や「教員不足」などの解消に向けた提言を文科省に提出した。公立小学校で段階的に進められている少人数学級を中学校にも拡大するよう要求したほか、学級担任以外の教員を配置するために義務標準法が定める係数(乗ずる数)を見直し、教職員定数を改善するよう求めた。
この日は、教職員定数などについて話し合う国と地方の会合があり、文科、総務両省の幹部と地方3団体の教育政策担当者が参加した。この場で、全国知事会の文教・スポーツ常任委員長を務める大村秀章愛知県知事が地方3団体を代表し、盛山正仁文科相に提言を手渡した。大村知事は「必要なものから順次実行していただきたい」と述べた。
提言では、教員に代わって事務作業を担う「教員業務支援員」や、副校長・教頭の業務を補佐する「副校長・教頭マネジメント支援員」などのスタッフ拡充を求めた。近年増え続けている不登校やいじめ認知に対応するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡大も促した。
また、児童生徒が1人1台のデジタル端末を使って学ぶ「GIGAスクール構想」によって配備された端末の更新について、国の責任で必要な予算を確保するよう要請した。
こうした政策については、文科省が24年度予算案の概算要求などを通じて、予算措置に向けた交渉を進めている(参照記事:13年ぶり教職員定数の「純増」求める 文科省概算要求)。
一方、文科省が現段階で予算要求していない内容として、少人数学級の中学校への拡大や「乗ずる数」の改善のほか、教頭・副校長や養護教諭を複数配置するための基準を緩め、複数配置校を拡大するよう求めた。少人数学級を進める際には、加配定数を基礎定数に付け替える形ではなく、十分な財政措置を講じるべきだとした。いずれも全国知事会が8月、当時の永岡桂子文科相に手渡した提言・要望に盛り込まれていたが(参照記事:「乗ずる数」の見直し求める 全国知事会、学校の人材確保で提言)、地方3団体の共通の希望として、改めて国に実現を求めた格好だ。
会合は提言の提出時を除いて非公開で行われた。文科省によると、地方3団体からは、文科省が推進する小学校高学年の教科担任制について、対象教科を現在の算数、理科、外国語、体育の4教科から拡大するよう求める声などが上がったという。