(鉄筆)カリキュラム・オーバーロード問題

(鉄筆)カリキュラム・オーバーロード問題
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 東京学芸大学主催の講演会で小学校学習指導要領のカリキュラム・オーバーロード問題について議論が行われたことを先日、本紙が報じた。授業時数や教科書の分量の変遷のほか、過去の学習指導要領との比較を通し、実際の勤務や学習指導の状況など教員の経験も踏まえた見解が示されていた。

 こうしたカリキュラム・オーバーロードに関する問題提起は昨年12月に全国連合小学校長会が文科省に対し「次期学習指導要領改訂を見越した指導内容と指導時数の削減」などの要望書提出で話題となった。それにより小学校教員の持ちコマ数軽減に関する問題提起につながった。これも働き方改革の一つの戦略であろう。

 教員の業務負担が小学校よりも多いとされている中学校はどうなのか。教科担任制をとる中学校では自分の専門分野を扱うことから教員が教材研究にかける時間は小学校に比べ少ないと思われがちだ。しかし、学年が上がれば学習内容の質・量とも増加し教材研究には多くの時間を取られる。

 小学校の場合、教材研究の時間を放課後に充てることが多いが、中学校は部活動指導がそれを妨げる。「主体的・対話的で深い学び」や「個別最適な学び」に象徴されるように指導後の評価活動に割く時間も、評価対象の生徒数が小学校に比べ多い中学校では相当な負担である。

 これからの授業が子供の個別最適化に対応するのであれば、現行の学習指導要領が持つ時間軸や空間軸の考え方を根本的に見直す必要性に迫られていると言える。中学校関係者の考えをぜひ聞かせてもらいたい。

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