放課後、もっと自由に遊びたい――。放課後NPOアフタースクールが11月14日に公表したアンケート結果によると、学童以外で放課後に友達と遊ぶことが「週1回以下」と回答した小学生が7割を超えることが分かった。同じく7割以上が、もっと友達と遊びたいと回答した。習い事で多忙だったり、公園など遊ぶ場所がなかったりなどの影響が考えられるという。アンケート結果は同日開催されたオンラインフォーラムで公表され、同法人代表理事の平岩国泰氏らが、小学生の放課後の居場所づくりを巡る課題や展望について語り合った。
アンケートは今年8月、小学生の放課後の過ごし方などについて、保護者302人を対象にオンラインで回答を集めたほか、小学生とその保護者を対象に個別でヒアリングを実施した。
その結果、学童以外で放課後に友達と遊ぶ頻度が「週1日以下」の小学生は70.9%に上った。このうち4割以上が「ほとんどない」と回答した。
また76.2%が、放課後にもっと友達と遊びたいと回答。思うように友達と遊べない理由を尋ねたところ、「友達と予定が合わないから」が半数に迫り最も多かった。次いで「自分が習い事などで忙しいから」が3割、「友達が習い事などで忙しいから」と「遊べる場所がないから」が2割を占めた。
シンポジウムでアンケート結果を公表した平岩氏は「『もっと自由に遊びたい』というのが、子どもたちの一番の願いなのではないか」と強調した。
また海外の先進的な事例について、日本総合研究所上席主任研究員の池本美香氏が報告。
池本氏によると、海外諸国で放課後の居場所づくりが進んでいる背景には、子どもの権利条約で定められている「遊ぶ権利」を重視する姿勢があるという。例えば英国では国を挙げて「遊び戦略」を進めており、全ての学校で放課後児童クラブを整備する方針を示しているほか、一部の道路を数時間単位で封鎖して遊び場として活用するなど、子どもの放課後を豊かにするための施策に注力している。
池本氏は「(放課後の取り組みを考えるとき)日本の場合は、親の勤務時間を確保するためという印象が強い。一方で海外では、子どものために放課後の在り方を考える動きが非常に目立つ」と指摘し、国内でも当事者である子どもの意見に耳を傾ける重要性や、社会全体で取り組むべき課題であることを強調した。
一方、平岩氏は子ども視点で、改めてルール作りなどを見直すことを提案。アンケート結果では「校庭開放は一度家に帰ってから遊びに行くルールで、家と学校が遠いから遊びに行かない」「ドッジボールを楽しみに児童館に行っていたけど、職員さんにドッジボールを禁止されてから行かなくなった」など、制約があるため子どもたちが自由に遊べていない実態も見られた。
平岩氏は「既存の施設の使い方やルールを見直すだけで、もっとできることがあるのではないか。学校や放課後、児童館は“こういうものだ”という概念を一度取り外して、改めて子どもの声を聞いてみる。今あるルール作りから見直してみることが大切ではないか」と、大人が価値観をアップデートする必要性に触れた。