(鉄筆)中学校の35人学級

(鉄筆)中学校の35人学級
【協賛企画】
広 告

 先日、盛山正仁文科相が報道各社の共同インタビューで中学校の35人学級について「一人一人に応じたきめ細かな指導が必要なのは小学校だけではない」との見解を示し、現在進めている小学校の35人学級の成果や課題を検証しながら中学校での実現にも意欲を示していた。

 それに対し財務省の財政制度等審議会が「数に頼らない教育、効率的な学校運営を」と注文を付けていた。同審議会がいう「効率的な学校運営」というものが実際に何を指すのか、教育に企業経営の論理が通用するのかなど疑問を持った関係者は多くいるだろう。

 文科省と財務省のバトルの歴史は古い。特に少人数学級には財務省特有の論理を振りかざしてきた。記憶に新しいのが子供の数が減少するデータを使い、教員数を増やさなくとも今後いやでも少人数学級になるというもの。

 学校の実態はバブル崩壊後の企業がリストラなどでぎりぎりまでわが身を切り詰めた状況を想起させる。その結果、企業ではブラック化が進み数々の悲劇を生んだ。財政制度等審議会の主張は当時の政府や銀行が企業に対し言ってきた内容と重なる。教員の増員をかたくなに拒み続ける財務省は、現在「働き方改革」の対象である学校に対して企業と同じわだちを踏ませるつもりか。

 「教育は人なり」という言葉がある。人間を育てる教育という営みの基本はマンパワーである。他の業種が人間に代わりAIが主役になったとしても、教育は人間が主役でなければならない。盛山文科相にはそうした矜持をもって財務省に挑んでもらいたい。

広 告
広 告