財務省の財政制度等審議会の歳出改革部会が10月に開催された。財務省が提出した資料によると、教職員定数は児童生徒数の減少ほどには減少していない。教員一人当たりの児童生徒数は主要先進国の平均よりも手厚い。人手不足や離職の増加は、日本の多くの業種で共通の課題・現象である。
教員業務支援員などの外部人材の人数・予算を大幅に拡充してきたが、効果は十分ではない。教員の給与は時間外勤務手当を含む一般行政職の給与より高い。教員の奨学金の返還免除は他の職業との公平性の観点から課題がある。最後には「ヒト」も「モノ」も「カネ」もではなく、いかに持続的・効率的に学校運営を図っていくかを検討すべき、と結んでいる。
学校だけ特別扱いはできない。求めるばかりではなく、教委も学校ももっと自助努力が必要ということだろう。
このような指摘に対して、盛山正仁文科相は10月13日の会見で、文科省は同月20日の中教審の「質の高い教師の確保」特別部会で反論を行っている。岸田文雄首相は同月末の国会での所信表明演説や衆院予算委員会で、教職員の処遇見直しなどを通じた公教育の再生、働き方改革、学校の指導運営体制の充実などに取り組むと述べている。
この国の一貫性のない指摘や発言に触れるにつけ、わが国の教育はどこに向かうのかと思ってしまう。「教育は国家百年の計」である。今、求められているのは、未来に向けたわが国の学校教育の方向性であり、それを踏まえた改革である。教育改革を掛け声だけで終わらせてほしくない。