自民党は12月8日、文部科学部会を開き、OECD(経済協力開発機構)の2022年の「生徒の国際学習到達度調査」(PISA)の結果について議論した。日本のスコアが改善する一方、自律的に学習を行う自信が希薄だったり、授業でのICT活用頻度が低かったりといった課題もみられたことから、文科省に対して「全体のスコアや順位だけでなく、個別の項目を見て今後の改善に生かしてほしい」と注文を付けた。
5日に公表されたPISAの結果では、日本は数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーの全3分野の得点が前回の18年より上がった。参加国・地域の中での順位も、読解力が前回の15位から3位へと大きく上昇したほか、数学的リテラシーは6位から5位、科学的リテラシーも5位から2位に浮上し、いずれも世界トップクラスの水準となった。
8日の部会は冒頭を除いて非公開で行われたが、終了後に取材に応じた山田賢司部会長によると、文科省からは「コロナ禍でも学びを止めなかったことが大きかった」などといった説明があった。
一方、今回のPISAで日本の子どもたちは、学校が再び休校になった場合、自分の力で学習を進めていくことに対し、「あまり自信がない」「全然自信がない」と答える割合がOECD加盟国の平均よりも高い傾向にあることが分かった。授業でのICTの利用頻度も低かった。このため、部会のメンバーからは「全体のスコアや順位が上がるに越したことはないが、それだけではなく、個別の調査結果の項目を見ながら、日本はどこが足りないのかをよく見て、今後の改善に生かしてほしい」との声が出たという。
盛山正仁文科相も8日の閣議後記者会見で、PISAの結果に言及した。日本の教育の底堅さを示した今回の結果について、「コロナ禍にあって頑張って学び続けた子どもたちの頑張りや、対面による学校ならではの学習機会を確保した先生方の努力があったと思う」と評価。一方で、「持続可能な形で学校教育の質の向上を図っていくためには、先生方の献身的な取り組みのみに頼ることなく、質の高い教師を育成、確保していくことが不可欠だ。引き続き働き方改革、処遇の改善、学校の指導体制の充実、教師の育成支援を一体的に進めていく」と語った。