今年も振り返るとさまざまなことがあった。10月には埼玉県で児童虐待禁止条例の改正案が委員会では可決されて本会議に提出されたが、反対の声が多く、取り下げられたことがあった。
改正案は、子供が放置されて死亡するなどの悲惨な状況をなくすことが趣旨であったが、小学3年生以下の子供だけでの留守番や登下校、公園で遊ぶことなどを一律に禁止する内容だったため、子育て世代を中心にこの内容では仕事を続けることができないと反対の声が高まった。
この条例案の内容は子供は互いに育つ機会を奪うのではないか。子供同士で過ごす中で人間関係を築く力を付けていく。必要な時に保護者が子供に寄り添うことは大切であるが、常に親が一緒にいれば、このような力が育つ可能性をつむことになる。
また、いじめの認知件数が増加し、過去最多となった。これは教師がいじめ防止対策推進法に定める「心理的又は物理的な影響を与える行為」の「対象となった児童等が心身の苦痛を感じているもの」といういじめの定義を認識している証しだ。好意による行為であっても相手が傷ついた場合はいじめとされる。教師は校内の対策組織にその事案を報告し、いじめを受けた子供やいじめを知らせた子供の安全を確保して詳細を確認し、いじめた子供を指導する。子供と子供の間に教師が介在し、子供だけで問題を解決することが許されない状況にある。
いじめ防止対策推進法が施行されて10年。子供同士の関係の中で育まれる力についても視野に入れて、同法を見直していく必要がある。