2024年の教育界はどんな年になるのだろうか。昨年末に発表されたPISA調査結果から予想してみたい。
今回の注目点は前回他の2分野に比べ低下傾向にあった「読解力」が上位に回復したこと、全ての分野においてOECD加盟国の平均点が低下傾向であったのに比べ、わが国は上昇傾向だったことである。国立教育政策研究所によれば、課題であった低位層のレベルアップが要因だという。これは教員不足で悩む現場教員への最大の評価であろう。教育水準の質の維持・向上のためにもさらなる授業改善と、国による教員へのより強いバックアップを期待する。
今回は高校生のICT活用状況についての調査も行われた。ICT環境の整備は改善されたが授業での利用頻度は低かった。特にICT活用で効果的といわれる探究学習での利用頻度が低い。一つ苦言を呈せば、これは指導者側の問題ではないか。高校では24年度より新学習指導要領の全学年実施となる。調査結果を受け高校は「主体的・対話的で深い学び」を中心とした授業改善をICT利用とともに推し進めるべきだ。
ただ、文科省調査で明らかにされた小・中学生の視力低下やネット依存症など、余暇時間におけるICTの利用時間の増加に伴う健康被害や学力低下への警鐘には高校も耳を傾ける必要があろう。
今年は学習指導要領改訂に向け中教審が動き出す。教員の働き方改革を視野に入れた学力向上とゆとりある教育指導のための学習指導要領の設計図をどうするのか。荒瀬克己会長のお手並みを拝見したい。