文科省が国立大附属校の運営の点検求める 奈良教育大の問題受け

文科省が国立大附属校の運営の点検求める 奈良教育大の問題受け
iStock.com/pakorn sungkapukdee
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 奈良教育大学附属小学校(奈良市)が、一部教科で学習指導要領が定める内容を教えていなかったり、教科書を使わずに授業をしていたりした問題を受け、文部科学省は1月19日、附属校を設置している国立大学法人に対し、附属校のカリキュラムを改めて点検するよう通知した。また、奈良教育大の問題の背景にはガバナンスの機能不全があったとして、校長による意思決定や法人としてチェックが適切に行われているかどうかも確認するよう求めた。

 奈良教育大が公表した報告書によると、附属小では▽国語で書道を教えていない▽道徳の授業を実施していない▽本来教えるべき学年とは別の学年で理科の内容を指導する――といった、学習指導要領に照らして不適切な事例が9教科(外国語活動を含む)で確認された。また、多くの教科で教科書を十分に使用せず、特に図画工作では全く使っていなかった。これは国の検定をパスした教科書の使用を義務付けている学校教育法に抵触する。問題の背景には、校長の権限が制約されたり、大学の学長の対応が不十分だったりといったガバナンスの問題もあったとされる。

 文科省の通知はこうした点を踏まえ、▽学習指導要領などに基づいたカリキュラムが編成・実施されているか▽教科書をメーン教材として使っているか▽校長による意思決定が適切に行われているか▽附属校の教育活動や学校運営を法人側がチェックする機会を設けているか――といった項目を点検するよう各法人に求めた。その上で不適切な運営が確認された場合、速やかに報告するよう要請した。

 奈良教育大の問題について、盛山正仁文科相は19日の閣議後会見で「大変遺憾に存じている」と苦言を呈した。一方、文科省としての実態調査は「考えていない」とした。

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