(鉄筆)学校評価

(鉄筆)学校評価
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 「なんとか力業で乗り切った日程が実績となり、むちゃくちゃな日程が標準となる」「『できません』『分かりません』は言えず『やるのが当たり前の文化』」――。学校でこのような言葉を聞いたことはないか。

 これは昨年末、車両認定試験に不正があった自動車メーカーを調査した第三者評価委員会のアンケートに対し、従業員の回答にあった言葉である。不正は、収益向上のために車の開発期間を短縮し、過密な開発日程が認証試験の担当部署に集中したためと言う。

 年が明け、学校では学校評価が始まっている。2024年度は現行の学習指導要領に基づく教育課程が小学校では5年目、中学校では4年目、いわば現行学習指導要領の折り返し地点。コロナ禍が終わり、教育活動も充実してきている。この時期での学校評価である。これに基づいて25年度の教育課程が編成されるので、慎重に行うことが求められる。

 かつて、朝会などを定刻に開始できるよう、5分前に整列を完了する「5分前行動」を指導していた学校で、早く整列することが目的化し、いつしか10分前、15分前行動になったことがあった。コロナ禍では、多くの学校で教育の質を落とさないように留意しつつ、目標達成のために必要なものは残し、それに直接結び付かないものは省いたり、やり方を変えたりするなど工夫してきた。そのことを、思い出す必要がある。

 今、多様な子供がいて一人一人に応じた指導が求められている。子供とじっくり向き合い、子供の表情や行動を見取る時間を十分に確保することを忘れてはならない。

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