前時代的と言ったらよいのか、いまだにこうした学校が存在すること自体驚きである。奈良教育大学附属小学校における数々の不適切な指導や管理体制の件である。
同校公表の報告書によればその概要は、(1)学習指導要領に示されている内容の未実施(2)授業における教科書の未使用(3)学校マネジメントの機能不全――などである。こうした事態は以前より指摘されており、昨年度外部から教育長出身の現校長を配置することで収拾を図ろうとしたがリーダーシップが取れる状況には至らなかったという。
公立学校でも1990年代までは今回の附属小のような状況が少なからずあった。2000年の学校教育法施行規則などの改正により職員会議を校長の補助機関とするなど校長を中心とした学校運営ができる法整備が行われ現在に至っている。
同校では報告書の中で問題の解決・収拾に向けた対策を述べているが、同じような問題を抱える国立学校は多く存在するのではないか。文部科学省ではガバナンス(組織統治)にのっとった意思決定や学習指導要領に基づく適切な履修が行われているかなどを点検するよう全国の国立学校に通知したが、それだけでは本質的な解決にはならないだろう。
現在、国立大学は大学統合などの再編協議が活発化し新しい時代に向けた大学の在り方が問われている。そこには附属学校も含まれているはずだ。文科省は大学だけでなく附属学校に対しても公立学校並みの正常化を図る意思を明確に示し行動に移すべきであり、今回の事案を絶好の機会と捉えるべきである。