元日に能登半島地震が起き、多くの方が亡くなり被害に遭われた。改めて哀悼の意を表するとともにお見舞いを申し上げたい。
大津波警報が出た直後、普段は冷静に話すNHKのアナウンサーが、「命を守るため、一刻も早く逃げてください」「周りの人にも避難を呼び掛けながら逃げてください」と鬼気迫る口調で呼び掛けた。東日本大震災の際、津波からの避難を呼び掛けたものの多くの方が命を失ったことの反省から、効果的な呼び掛けを検討して生まれたものだという。
その翌日、羽田空港で着陸してきた旅客機と滑走路上にいた飛行機が衝突し炎上する事故が起きた。旅客機は衝突後、炎上しながら1キロ走って止まった。子供8人を含む乗客367人と乗員12人の計379人全員が脱出できた。
この背景には、窓からエンジンが火を噴いているのが見えた時に、客室乗務員が「大丈夫」「落ち着いて」と乗客がパニックに陥るのを防いだことや、コックピットと連絡が取れない中、8カ所あるドアのうち安全に避難できる箇所を冷静に判断したこと、「鼻と口を覆って、姿勢を低くして」「荷物は持たないで」と的確に指示を出し、乗客が従ったことが挙げられる。
今回の客室乗務員の半数は入社間もない新入社員だったという。あらゆる想定の訓練を行ってきており、その賜物だと言える。各学校の防災計画や避難訓練は形骸化してはいないだろうか。阪神・淡路大震災や東日本大震災の教訓を風化させてはならない。この時期に見直しを行い、いざというときに真に役立つものにしなければならない。