「教頭先生に用事があり学校に電話をしても、授業中でつながらないことが多い」と知人が話していた。担任がいないので教頭が担任として指導しているのだという。
ある教職員団体の調査によると昨年10月の時点で、全国で3000人を超える教員が不足していた。最も多い校種は小学校で、不足教員数の約半数。小学校では、専科教員や習熟度指導の加配教員を担任に充て、授業に影響が出ないようにしている。
それさえできない場合、教頭が学級担任として指導に入っている。教頭の仕事は代わりがいないので負担は想像以上だ。文科省の「令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によると、精神疾患による病気休職者は過去最多の6539人となった。
教員が足りないという声に対して財務省は昨年10月、「数に頼らない教育・効率的な学校運営が必要だ」と指摘した。「なんと現場を知らない指摘か」と思われた方が多かったのではないだろうか。教育は定型業務ではない。子供は日々刻々、成長し変化するので、的確に対応することが求められる。教員と子供との間に信頼関係があってこそ成り立つものであり、代わりが利かない仕事である。
一人一人の教員が真に子供に向き合うためには、質の高い正規の教員の十分な人数の配置が必要である。財務省の職員にはぜひ、いわゆる〝いい学校〟ではなく〝ふつうの学校〟で1カ月過ごしてみてほしい。いかに教職員が学校業務の改善を図りつつ、その中で教育活動を充実させるように努めているかが分かるだろう。