先日、授業時間の短縮を中心とした教育課程編成の研究に取り組む東京都目黒区の小学校について本紙電子版が2回に分け特集を組んだ。具体的には授業時間を40分にして、その余剰時間を午後の自由裁量の時間として設定できるというものだ。
同区は現在、文部科学省の研究開発学校地区に指定され今年度が研究の最終年度となる。こうした研究成果は、中教審に報告され審議の俎上に載る予定だ。研究の狙いについて文科省は、生み出した時間を活用し児童の学びや生活の質の向上を図るとしているが、学習指導要領改訂作業の目玉の一つとなる教員の働き方改革を意識しての側面も持っていることは明らかであろう。
授業の1単位時間はこれまでも学校裁量による弾力的運用が認められてきたが、基本的には各教科などの授業時数の枠内でのことであった。しかし、今回の目黒区の研究では、例えば小学校で一律40分授業とした場合生じる余剰時間を教員の研修など子供の学習活動に限定しない時間にも充ててよいことになっている。
そこで懸念されるのが教科担任制を取り多くの非常勤講師のいる中学校である。目黒区の研究校は全て小学校なので参考にならないが、中学校を45分授業とした場合、小学校と同じ成果を期待するのは早計だろう。
もう一つの懸念は、授業時間の短縮は「教育効果あり」「働き方改革解決」といった筋書きである。これは財務省を喜ばすデータとなり教員の定数改善の動きに待ったがかかるのではないか。その点を文科省はどう考えているのだろうか。