科学好きの高校生が各都道府県代表の学校対抗戦でその高度な知識や技能を競う、第13回科学の甲子園全国大会が3月15~18日に茨城県つくば市で開かれ、神奈川県代表の栄光学園高校が優勝を飾った。総合成績は筆記競技と実技競技の合計得点で決められるが、同高は筆記競技でトップだった。
大会を主催する科学技術振興機構(JST)によると、今大会の各都道府県の代表選考には704校から8042人がエントリー。1日目には筆記競技、2日目には3種目の実技競技が行われた。高校1、2年生による6~8人で各チームは構成され、その中から筆記競技は6人、実技競技は3~4人を選び、分担したり相談したりするなどして制限時間以内に課題に挑んだ。
筆記競技は、知識を活用する問題が出され、中には教科や科目の枠を超えた融合的な問題も含まれることがある。一方、3種類ある実技競技は、実験や実習、考察など、科学技術を総合的に活用して、ものづくりやコミュニケーションの能力を働かせながら課題を解決する力が試される。今回は地学分野、化学分野と総合的な課題がそれぞれ出題された。
実技競技①は「アッピン地質ワールド」と題し、説明動画を見た後に会場にある地層模型を計測し、地層断面図を描いたり、タブレット端末からARでトンネル内の地層観察を行い、粘土模型を制作したりする課題に取り組んだ。実技競技②は、開催地である茨城県にある日立鉱山にちなんで、金属イオンなどを含んだ点眼ビン入り溶液14種類と金属板6種類がそれぞれ何であるかを、定性分析という技法で突き止めるというもの。また、実技競技③は60分以内に熱気球を制作し、重量や熱風の強さなどを調節しながら、その場で提示された4秒間の滞空を目指した。
これらの競技の結果、1位は栄光学園高校、2位は東京都代表の筑波大学附属駒場高校、3位は岐阜県代表の同県立岐阜高校となった。筆記競技は栄光学園高校、実技競技①は宮崎県代表の同県立宮崎西高校、実技競技②は兵庫県代表の神戸大学附属中等教育学校、実技競技③は福井県代表の同県立藤島高校――がそれぞれ1位に輝いた。
次回大会は来年3月下旬に、同じつくば市を会場に開かれる予定。