私たちが本研究で目指している「夢中になって学び続ける子」とは、「身近な『人・もの・こと』とかかわり、興味・関心や意欲を高めて追究する子」「すすんで仲間とかかわり、自分の思いや考えを見つめ直して、学びの深まりを実感する子」「追究したことをいかそうと動き出す子」である。
このような子どもたちを育てるために、3つの「形北学び」を設定した。「形北学び」とは、「身近な生活素材や地域素材を教材化」「問題解決的学習過程の『4つの場面「出あう」「追究する」「共有する」「いかす」』を設定した単元構想」「一人一人に寄り添った教師支援」である。これらを手だてとして、「夢中になって学び続ける子」を育てるために、授業実践に取り組んできた。
(1)4年生「どうしよう? ごみとくらしと わたしたち~『ごみの処理と利用』~」
4年生の実践では、ごみを教材化し、ごみ処理の仕組みやそこに関わる人の営みについて追究した。一日に蒲郡市で出るごみの量を体感することや、クリーンセンターやごみ収集車の見学、そこで働く人たちの努力や工夫、思いについて話を聞く活動を繰り返し設定することで、蒲郡市がごみでいっぱいにならない理由を追究した。また、仲間と話し合う機会を設定することで、自分では発見できなかったことや新たな考えに気付き、自分の学びを深めた。働く人の努力、願いに迫った子どもたちは、ごみを減らそうと生活のなかで自分たちにもできることを実践していった。
(2)6年生「この町の未来はぼくらの未来~形北防災の日~」
6年生の実践では、巨大地震の発生時に必要な備えについて考えた。防災教室として、熊本地震の体験談や、市役所危機管理課の方から避難所生活について聞く機会をもった。形北小が避難所になったとき、少しでも快適に過ごすために必要なことと、その中でも自分たちができることは何かについて考えた。ICT機器や思考ツールを活用することで、子どもたちは、自他の考えを整理して話し合い、自分の学びを広げ深めていった。学習の成果を地域に発信する場として、「形北防災の日」を設定し、学習発表して、参加したまちの人に働き掛け、将来、地域の戦力となる人材を育てることにつながった。
子どもたちの実態を捉えて身近な素材を選定し、教師が願いをかけて教材化した。こうすることで、これまでには目を向けることがなかった身の回りの事象への興味・関心や意欲が高まり、夢中になって追究する姿が見られた。また、追究と共有の場面を繰り返し位置付けたことで、子どもたちは、問題解決に向けて仲間の気付きや考えの良さを受け入れながら、自らの学びを広げ深めていった。単元終了後も、学習の成果を自分の実生活とつなげ、周りに働き掛ける活動を実践し続ける子が増えていった。
これからも、夢中になって学び続ける子を育てられるように、さらなる研さんを積んでいきたい。
(文責・廣濵俊伸校長、執筆・近藤祐輔教諭)