(鉄筆)ゴジラ -1.0のアカデミー賞受賞

(鉄筆)ゴジラ -1.0のアカデミー賞受賞
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 映画界最高の栄誉とされるアメリカのアカデミー賞で、日本の『ゴジラ -1.0』(山崎貴監督)が視覚効果賞に輝いたが、その制作費の安さが話題になっている。低予算でできた理由の一つとして監督自らがVFX(ビジュアル・エフェクト=視覚効果)の技術者として製作に立ち会い、スタッフの数を少人数に押さえたことがある。

 この話を聞いて2010年の小惑星探査機『はやぶさ』を思い出した。『はやぶさプロジェクト』は、信じられないくらいの低予算だった話は有名だ。

 そのため、スタッフは部品を高価な外注品ではなく、手作りか中小企業と一緒に制作に当たった。そのおかげで打ち上げ後のエンジントラブルなどがあってもどこが原因かすぐに把握でき、大きな失敗に至らなかった。当時、同プロジェクトの広報担当だった的川泰宣氏に言わせると、「適度な貧乏」状態だったからこそプロジェクトの成功につながったとのことだ。

 前置きが長くなったが探究学習の話である。最近、探究学習の重要性が各方面で語られるようになった。探究学習は、子供自身がテーマやその題材を探し仮説を考え検証のためのデータ収集をする。教師が何でも用意する教師主導型の授業とは違う、子供にとってある意味「適度な貧乏」状態の学習である。その結果、子供は知識だけでなく知識の奥にある背景や自分との関わりなど深い学びを経験する。まさに「生きる力」の獲得である。

 子供たちに何でも与える今の風潮を含め、ゴジラのアカデミー賞受賞はいろいろなことを教えてくれた。

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