最近、教員がわいせつ行為を行ったとの報道に接することが多い気がする。倫理性が求められる教員に対する、マスコミの報道姿勢によるものかもしれないと考え、各年度の「公立学校教職員の人事行政状況調査」の「教育職員の懲戒処分等の状況」を調べてみた。
「わいせつ行為等」だった表題が2020年度分(21年12月発表)から「性犯罪・性暴力等」に変わったが、21年に公布された「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律」を受けてのことだ。
結果をみると、懲戒処分を受けた教員は14年度から17年度は190人前後で推移しているが、18年度にいったん245人に増加、20年度には179人まで減少、その後、徐々に増加し22年度は219人。このうち「児童生徒性暴力」の被処分者は119人で、「性犯罪・性暴力等」の54.3%に当たる。年齢層別の被処分者数は20代が最も多い。「性犯罪・性暴力等」の被処分者のうち過去に処分を受けた教員は2%であり、「児童生徒性暴力」に限ると過去に処分を受けた教員はいない。
現在、日本版DBSの法制化が進められている。一定の効力は期待できるが、教員志望者には養成段階での教育が重要であり、性暴力の実態と防止について具体的に学ぶことが必要だ。採用ではこの倫理性を見極める仕組みが求められるし、採用後も実効性のある研修の継続が必要である。
教員による児童生徒性暴力は、児童生徒の心身に深い傷を残し一生を左右する。そして教員全体の信用も失墜させることを肝に銘じなければならない。