2023年の小中高生の自殺者数が過去最高に次ぐ多さであることが警察庁の発表で判明した。児童生徒の不登校数やいじめ件数が毎年過去最高を更新している昨今、子供の自殺も大きな教育課題であり社会問題だ。大人の自殺者数が減少している中でのこの状況はやはり気になる。
こうした課題の原因として指摘されるのが自己肯定感の低さである。しかし、日本の子供の自己肯定感の低さは少なくとも30年前から指摘されてきている。その間、文科省をはじめさまざまな教育機関でその対策についての提案や実践が図られてきたが現状に変化はない。
そんな中、昨年6月に閣議決定された第4期教育振興基本計画に「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が示された。注目されるのは、ウェルビーイングについて従来のOECDの掲げる自己肯定感などの個人の資質・能力を重視した獲得的要素だけでなく、利他性や協働性、社会貢献意識などわが国でウェルビーイングに欠かせない協調的要素が加えられている点だ。
その上で右に挙げた要素を含む教育活動の実施とそれを受けての子供たちの認識をエビデンスとして収集し、その活動の有効性を検証することが必要であるとしている。
学校、家庭、社会において大切なのは、活動後に大人が子供の声に耳を傾けそれを受け入れた後で助言や感想を伝えることである。それだけで子供は幸福感と自己有用感を獲得するはずだ。過去来日した外国人が称賛した、全ての大人が子供を育てる風土を持つ国・日本を復活させるチャンスである。