(鉄筆)マルハラスメント

(鉄筆)マルハラスメント
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 最近、「マルハラスメント(マルハラ)」という言葉を耳にする。一般的に詩や短歌、俳句などを除いて文の終わりには句点(マル)を付ける。句点は一つの文が終わる目印である。若者は「句点で終わると、自分と相手との関係が断ち切られる感じがする」という。これを「マルハラ」というのだそうだ。

 若者にとって、LINEなどで連絡があるとすぐに返信することが当たり前になっている。すばやい入力で、できるだけ短い文を返信する必要がある。

 若者はスマホ入力の際、打ちたい文字の方向に指をスライドする「フリック入力」を用いている。キーを押した回数によって割り当てられた文字を選択する「トグル入力」より格段に速い。さらに短い文にするために「マ?」(マジ?)、「り」(了解)などの言葉(これらもすでに死語かも)を用い、単文で記すので句点を打つ必要がなく、句点があるとかえって違和感を抱く。

 若者の間ではLINEのやりとりは、「話し言葉」になっている。「反射」に近く、「刺激―反応」の間に「思考」や「判断」が介在していない可能性がある。若い世代で「タイパ(タイムパフォーマンス)」と言われるように、短時間でどれだけ効果が得られるかに価値があるようだ。

 その過程では、本来、得られるものが落とされているのではないか。これからの社会を生きていくためにはタイパも大切だが、事象をしっかりとつかみ、時間を掛けてじっくりと自分の考えをつくり上げていくことも大切である。学校における教育活動では、これを大切にしていきたい。

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