教職調整額の引き上げなどを打ち出した中教審の質の高い教師の確保特別部会が取りまとめた「審議のまとめ」に対し、教育関係者からさまざまな批判的な意見が相次いでいることについて、盛山正仁文科相は5月17日の閣議後会見で、「審議のまとめ」が教師の処遇改善だけでなく、学校の働き方改革や指導運営体制の充実などを一体的・総合的に進める狙いがあることに改めて理解を求めた。「審議のまとめ」で盛り込まれた施策をどう進めるかを整理した「工程表」を作成する必要性については、「中教審で検討されるもの」との見解を示した。
「審議のまとめ」が取りまとめられた5月13日以降、文部科学省ではさまざまな教育関係団体が記者会見を開き、「審議のまとめ」に対する見解を表明している。また、教育新聞が同14日から行っている読者投票「Edubate」では、同17日午後6時の時点で700件を超える投票があり、「審議のまとめ」について「期待以下」という回答が96%を占めている(参考記事:【教員×投票】中教審特別部会の「審議のまとめ」 期待した内容?)。
こうした声が上がっていることについて盛山文科相は「さまざまな方がさまざまな受け止めをしている、さまざまなご意見を出しているというのは承知している」と述べた。
その上で、それらの意見の中に教職調整額について規定している給特法の廃止を求めるものがあることに触れ、「給特法自体は教師の自発性、創造性に基づく勤務に期待する面が大きいことなどにより、どこまでが職務であるかの切り分けが難しいという教師の職務等の特殊性から、時間外勤務手当ではなく、勤務時間の内外を包括的に評価するものとして教職調整額を支給することとなっているもので、今回の『審議のまとめ』においても、この仕組み自体は合理性を有しているとされている」と説明。
「(『審議のまとめ』の狙いが)教師の処遇改善ということだけではなく、学校における働き方改革のさらなる加速化、そして教職員定数の改善や支援スタッフの配置拡充など学校の指導運営体制の充実、こういったことを一体的・総合的に推進することが必要とされているものであるので、そういうことも含めて、ぜひご理解をいただきたい」と強調した。
一方で、特別部会の議論の中で複数の委員から、「審議のまとめ」で盛り込まれた施策をどのように実行していくかを整理した「工程表」を作成する必要性が指摘されたことについては、「われわれが作るというのではなくて、中教審の中でどのような審議をするのかということなので、中教審で検討されるものである、ということではないかと思う」との認識を示した。