2023年度に東京都の小中高の教員として採用された者は3472人。うち169人が1年以内で退職。割合にして4.9%、約20人に1人。離職理由の内訳は、「自己都合」が159人、「懲戒免職」が1人、残り9人は試用期間中に指導力不足と判断され正式採用に至らなかった。
自己都合離職の半分程度は病気が理由。子供の教育に夢や希望を持って就職したのに1年以内で離職した思いはどのようなものか。都教委は臨床心理士らによる教員への面談事業や年齢の近い先輩教員を新人の相談役にあてる「メンター制度」を全小学校で導入。担当者は「安心して働ける環境を整えたい」と話している。
「安心して働ける環境」の醸成は内部努力も必要だ。何でも話し合え相談できる風通しの良い人間関係づくりの工夫や努力が積み上げられているだろうか。新人教師は教育の未来づくりの先端である。一口に若者といっても多様であり、おのおのが持っている良さをいかに発揮させるか。一人一人を意識した関わりや指導・支援が必要である。
今、学校は子供たちの多様化に応じる教育が求められている。個別の教育的ニーズを把握しさまざまな課題を乗り越え、一人一人の可能性を伸ばしていくことに学校・教師が一つになって取り組むことが必要だ。
教師間がその風土であれば、子供にもそれが伝わり広がっていく。教師も子供も一体となってそうした環境づくりを推進するのが管理職のリーダーシップの発揮どころ。笑顔で、話をよく聞き、共に学ぶ風土づくりの手本を子供も教師も期待している。