(鉄筆)土曜授業の減少

(鉄筆)土曜授業の減少
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 土曜授業を実施する公立校の数が減少しているという(本紙調査)。4月22日の本紙記事が伝えていた。理由は教員の働き改革を優先しているからだとのこと。

 土曜授業の論議は学校週5日制が本格的に始まった2002年に早くも起こっている。そもそも学校週5日制の導入については文科省が「ゆとりのある生活の中で、子どもたちが個性を生かしながら豊かな自己実現を図ることができるよう」にと1992年9月(月1回)から始めたものである。当時、子供たちの生活体験不足が指摘され、その年に本格実施となった学習指導要領には小学校で生活科が新設された。また、高度成長時代の反省として企業の週休2日制が定着していた頃である。

 こうして子供にも「ゆとり」が求められる風潮が生まれ、97年の自・社・さきがけ政権時に「ゆとり化」に積極的だった日教組の役員が中教審委員に就任すると「ゆとり化」は加速した。

 しかし、その後の民主党政権や安倍政権でも週5日制の見直しが政策として出された。そこにはPISA調査などで日本の子供の学力低下が深刻化し世論が学力向上を学校に求めていた社会的背景がある。そのことが土曜授業復活を促すきっかけとなった。

 もともとは学校週5日制も土曜授業も子供の健全な成長を中核に据え打ち出された対策である。それが今の議論を聞くと教員の人材不足と相まっていつの間にか大人の働き方改革に中心が移ってきている。これからの子供にとって何がベストなのか、関係者には先を見据えた論議をしてもらいたいものだ。

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